この記事の日付について。 2026-09-21(JST)に調査・執筆し、公開日の2026-10-04に、Geminiアプリ プライバシーハブ(日英)、「Gemini アプリのアクティビティを管理、削除する」、Workspace 生成AIプライバシーハブ、「Geminiアプリをオンまたはオフにする」、Manage access to Gemini features in Workspace services、Gemini API 追加利用規約、旧管理者ヘルプURLの転送先を一次資料で再確認して更新しました。本文中の「2026-09-21確認」は執筆時、「2026-10-04確認」は公開前の再確認の日付です。筆者環境の計測値は、断りがない限り2026-09-21の記録です。

この記事でわかること

  • Geminiアプリの「アクティビティの保存」をオフにすると、フィードバックを送らない限り、以後のチャットはモデル訓練に使われません。ただし会話は最長72時間アカウントに保持されます(Geminiアプリ プライバシーハブ 2026年9月24日更新、2026-10-04確認)
  • 人間のレビュアーが目を通した会話は、履歴を削除しても消えません。Googleアカウントから切り離した形で、最長3年保持されることがあります
  • オフにしていても、自分でフィードバックを送ると直近24時間のチャットが文脈として一緒に送られます。ここは「オフにしたのに送られる」経路の代表例で、唯一の経路ではありません。オフのままでも電話・メッセージ・WhatsApp などの一部のアプリ連携は動き、自分が作成したGem自体はアカウントに保存され続けます。これとは別に、オフでも一時チャットでも、会話は応答とGoogle・ユーザー・一般の人々の保護のために使われ、その保護には人間のレビュアーによる確認も含まれます(Gemini Apps Privacy Hub 2026年9月24日更新、2026-10-04確認)
  • 会社のWorkspaceアカウントとAPI有料枠は、一次資料の記述が個人アカウントと別物です。無料APIとAI Studioには「機密情報を送信するな」と明記されています
  • 個人向け・管理者向けの操作手順を、2026-09-21時点のメニュー名そのままで番号順に並べます

「オフにすれば消える」ではありません。オフにすると止まるのは訓練利用で、保持そのものは最長72時間続きます。そして人間レビューに回った分は、あとから履歴を消しても最長3年保持されることがあります。機密資料を貼るかどうかは、この2つの規定を見てから決めるのが正しい順序です。


1. 「訓練に使う」「保存する」「人が読む」は3つ別の話

検索して出てくる記事の多くは、この3つをまとめて「学習」と呼びます。実際の一次資料では別々の条項で、それぞれ止まる条件も期間も違います。

語意味個人設定で止まるか
モデル訓練入力・応答を次のモデルの学習データに使う止まる(アクティビティの保存をオフ)
保持Googleのサーバに会話を残す止まらない(オフでも72時間)
人間レビュー人のレビュアーが読んで注釈を付けるAI改善目的のレビューは止まる(フィードバック送信時を除く)。保護目的のレビューは止まらない

Geminiアプリ プライバシーハブの日本語版は、オフにした場合の挙動をこう書いています。「今後のチャットはアクティビティに表示されず、AI モデルのトレーニングに使用されることもありません」。同じ文の後ろには、フィードバックを送ることを自分で選んだ場合を除く、という条件が付いています。止まるのは表示と訓練で、保持は別立てです。英語版では保持側が明示されています。

Temporary chats and chats you have when Keep Activity is off are retained with your account for 72 hours (Gemini Apps Privacy Hub、2026年9月24日更新、2026-10-04確認)

人間レビューも1種類ではありません。同じページは、Google サービス改善のためのレビューと、Google・ユーザー・一般の人々を守るためのレビューを分けて書いており、後者はオフでも一時チャットでも続きます。

Even if your Keep Activity setting is off or you use temporary chats, Google still uses your chats to respond to you and help protect Google, our users, and the public, including with help from human reviewers.

この3つを分けて読めると、「オフにしたのに履歴が残っている気がする」という違和感の正体が分かります。72時間分はアクティビティの一覧に出ないだけで、アカウント側には存在しています。

なぜこの区別が実務で効くかというと、判断の単位が変わるからです。訓練利用だけを気にしているなら、オフにしてフィードバックを送らなければ足ります。しかし「顧客名の入った資料を貼っていいか」を判断したいなら、最長72時間の保持と、保護目的の人間レビュー、レビュー済み分の最長3年の保持を見なければ答えが出ません。前者は将来のモデルに痕跡が残るかという問題で、後者はいま誰かの目に触れうるかという問題です。


2. 確認した一次資料と確認日

この記事の数値・手順は、すべて以下のGoogle公式ドキュメントを2026-09-21に取得して書き、2026-10-04に再取得して現行の記述と照合しています。二次記事の要約は使っていません。ページ内更新日は2026-10-04時点の表示です。

確認した主張一次資料種別ページ内更新日確認日
オン時は18か月で自動削除、3/36か月・無期限も選択可Geminiアプリ プライバシーハブ公式ヘルプ2026年9月24日2026-09-21/2026-10-04
オフ時・一時チャットは72時間保持同上(日英)公式ヘルプ2026年9月24日2026-09-21/2026-10-04
オフ時・一時チャットでも保護目的の人間レビューはありうる同上(日英)公式ヘルプ2026年9月24日2026-10-04
人間レビュー済みは最長3年、アカウントから切り離す同上公式ヘルプ2026年9月24日2026-09-21/2026-10-04
オフでもフィードバック送信は直近24時間を含む同上(英語版)公式ヘルプ2026年9月24日2026-09-21/2026-10-04
画面の操作手順とボタン名Geminiアプリのアクティビティを管理、削除する公式ヘルプ記載なし2026-09-21/2026-10-04
無料API・AI Studioは製品改善に使用Gemini API 追加利用規約公式規約2026年3月23日発効2026-09-21/2026-10-04
有料APIは訓練に使わず、違反検知目的の限定ログのみ同上公式規約2026年3月23日発効2026-09-21/2026-10-04
EEA・スイス・英国は無料枠でも有料枠の条項を適用同上公式規約2026年3月23日発効2026-09-21/2026-10-04
Workspaceのコンテンツは人間レビュー・ドメイン外訓練の対象外Workspace 生成AIプライバシーハブ公式ヘルプ2026年8月14日2026-09-21/2026-10-04
管理コンソールのGeminiアプリ オン/オフ手順Geminiアプリをオンまたはオフにする公式ヘルプ2026-10-01 UTC2026-09-21/2026-10-04
Workspaceサービス内のGemini機能の制御手順Manage access to Gemini features in Workspace services公式ヘルプ2026-10-01 UTC2026-09-21/2026-10-04

この記事には画面キャプチャを載せていません。手順のメニュー名・ボタン名は上記ヘルプページの日本語表記(2026-09-21取得、2026-10-04に同じ表記であることを確認)をそのまま引用したもので、筆者が撮影した画面ではありません。UIは変わるため、手元の画面と文言が違ったときは第7章の早見表を見てください。

一次資料のうち、Vertex AI 側のデータガバナンス文書は今回の範囲外としました。本記事では扱いません。


3. 利用形態7通りの扱い(一次資料の対応表)

自分がどの行にいるかを最初に特定してください。行が違えば、そもそも押すべきボタンも、残るものも変わります。

利用形態モデル訓練人間レビュー保持誰がオフにできるか
① Geminiアプリ・無料の個人アカウント使われる対象になりうる既定18か月(3/36か月・無期限も可)本人
② 個人課金(Google AI Pro / Ultra)訓練・保持の扱いを①と区別する記述を確認できず同左同左本人
③ 一時チャット使われないAI改善目的では対象外(保護目的のレビューはありうる)72時間本人(会話ごと)
④ アクティビティの保存をオフ使われない(フィードバック送信時を除く)AI改善目的では対象外(フィードバック送信時を除く。保護目的のレビューはありうる)72時間本人
⑤ Google Workspace(Gemini有効なライセンス)ドメイン外の訓練に使わない人間レビューの対象外管理者設定(Geminiアプリは最大36か月)管理者
⑥ Gemini API 無料枠・AI Studio使われる読む・注釈を付ける場合がある規約に年月の明示なし設定ではオフにできない
⑦ Gemini API 有料枠使われない訓練目的では対象外違反検知目的の限定ログ有料枠を使うこと自体が選択

各行の根拠を順に示します。

① と ②について、Geminiアプリ プライバシーハブには、Google AI Pro や Ultra といった課金プランであっても、訓練利用の可否や保持期間の扱いを無料アカウントと区別する記述を確認できませんでした(2026-09-21時点、日英両版)。収集するデータの一覧に「Google AI プランの有料サブスクリプションを利用している場合は、サブスクリプションの関連情報」を集める旨の記載はありますが、これは収集項目の話でデータの扱いをプラン別に分けるものではありません(Geminiアプリ プライバシーハブ)。課金すれば訓練対象から外れる、という扱いではないということです。有料プランの説明ページに並んでいるのは利用上限・使えるモデル・ストレージ容量といった提供内容で、データの扱いについての記述はページ本文からは確認できませんでした(Google AI プラン、2026-09-21確認)。データの扱いはプライバシーハブ側に書かれています。ここは上位記事が「無料版と有料版の違い」という見出しでAPIの話と混ぜやすいところで、個人課金とAPI有料枠は別の話です。

③ の一時チャットは、プライバシーハブが「一時チャットは、人間のレビュアーが目を通して Google AI の改善に使用されることはありません」と書いています。対象外になるのはAI改善のためのレビューで、Google・ユーザー・一般の人々を守るための確認には人間のレビュアーが関わることがある、と同じページに書かれています(第1章の引用、2026-10-04確認)。設定を触らずに1回分だけ切り離したいときの手段です。

⑤ の Workspace は、Workspace生成AIプライバシーハブ(2026年8月14日更新)の記述がはっきりしています。

お客様のコンテンツが他のお客様のために使用されることはありません。お客様のコンテンツは、人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません。

同ページの保持期間の記載は製品ごとに分かれており、Gemini in Workspace が「90 日から無期限(管理者によって設定されます)」、Geminiアプリが「最大 36 か月(管理者によって設定されます)」です。つまりWorkspaceでは、個人が持っていた無期限や18か月の選択権が管理者側に移ります。

⑥ の無料API は、追加利用規約の Unpaid Services 条項が最も直接的です。

When you use Unpaid Services, including, for example, Google AI Studio and the unpaid quota on Gemini API, Google uses the content you submit to the Services and any generated responses to provide, improve, and develop Google products and services and machine learning technologies (Gemini API Additional Terms of Service、2026年3月23日発効)

同じ条項には、はっきり次の一文が置かれています。

Do not submit sensitive, confidential, or personal information to the Unpaid Services.

Google AI Studio の画面でコードを試すのも、この条項の範囲です。無料枠には「設定でオフにする」という選択肢がありません。オフにしたければ有料枠に移るしかない、という構造です。

ただし例外が2つあります。1つは地域で、EEA・スイス・英国のユーザーには無料枠でも有料枠の条項が適用されます。

If you’re in the European Economic Area, Switzerland, or the United Kingdom, the terms under ‘How Google uses Your Data’ in ‘Paid Services’ apply to all Services, including Google AI Studio and unpaid quota in the Gemini API, even though they are offered free of charge.

日本はここに含まれていません。日本から無料枠を使っている限り、製品改善への利用は規約どおり続きます。

もう1つは課金とアカウントの種類です。規約上、AI Studio は無償で提供されていても、次のどちらかに当たれば Paid Services 扱いになります。使っているアカウントが、有効な Cloud Billing アカウントに紐づいた Cloud プロジェクトにアクセスできる場合と、そのアカウントが Workspace の enterprise アカウントである場合です。Gemini API のほうは、有効な請求先アカウントに紐づいた Cloud プロジェクト経由で呼び出したときだけ Paid Services です(Gemini API 追加利用規約、2026-10-04確認)。同じ AI Studio の画面でも、アカウントの状態によって条項が切り替わるということです。ここは画面を見ただけでは分かりません。

⑦ の有料API は次のとおりです。

When you use Paid Services, including, for example, the paid quota of the Gemini API, Google doesn’t use your prompts (including associated system instructions, cached content, and files such as images, videos, or documents) or responses to improve our products

訓練には使わないものの、保持がゼロになるわけではありません。違反の検知・防止のみを目的として一定期間ログが残ります(“Google logs prompts and responses for a limited period of time, solely for detecting and preventing violations”)。さらに、Google検索によるグラウンディングとMapsグラウンディングを使った場合は、プロンプト・文脈情報・出力を30日間保存すると明記されています。RAG的に検索結果を混ぜる構成を取っているなら、有料枠でも30日の棚ができます。

APIのモデル選定や価格の話は /posts/gemini-3-7-flash-benchmarks-price-doubling-2026/ に分けて書いています。


4. 【個人向け】Geminiアプリで学習をオフにする手順

ここからは実際の操作です。下のメニュー名は、公式ヘルプ「Gemini アプリのアクティビティを管理、削除する」の2026-09-21時点の日本語表記で、2026-10-04確認でも同じでした。

名前が2つあることを先に知っておく

同じ設定に2つの呼び名が並んでいます。トグルそのものは「アクティビティの保存」で、Androidのメニュー項目は「Gemini アプリ アクティビティ」です。旧名で書かれた解説記事を読みながらブラウザ版を操作すると、項目が見つからずに止まります。どちらも同じ設定を指しています。

パソコン(ブラウザ版)の手順

  1. gemini.google.com を開きます
  2. 「設定とヘルプ」を開き、「アクティビティ」をクリックします
  3. 上部の「オン」をクリックします
  4. 「オフにする」または「オフにしてアクティビティを削除」のどちらかを選びます

4番目の選択は意味が違います。前者は以後の記録を止めるだけで、過去の履歴は残ります。後者は同時に既存の履歴も消します。すでに機密資料を貼ってしまったあとで設定に来たなら、後者を選ばないと目的を果たせません。

この画面には次の確認文が表示されます。オフにした直後にGoogle自身が72時間の保持を告知している、という点が重要です。

アクティビティの保存がオフになっている場合でも、会話は最長で72時間アカウントに保存されます

Android版の手順

  1. Geminiアプリを開き、左側のメニュー アイコンをタップします
  2. プロフィール写真またはイニシャルをタップします
  3. 「Gemini アプリ アクティビティ」をタップします
  4. 上部の「オン」をタップし、「オフにする」または「オフにしてアクティビティを削除」を選びます

ブラウザ版との違いは2と3だけで、ブラウザ版は「設定とヘルプ」から入るのに対し、Android版はプロフィールアイコンから入ります。以降の画面は共通です。

自動削除の期間を変える手順

オフにせず記録は残したい、ただし短くしたい、という選び方もできます。

  1. 上記と同じ「アクティビティ」の画面を開きます
  2. 「…か月以上経過したアクティビティを削除します」または「自動削除オプションを選択します」をクリックします
  3. 「3 か月」「18 か月」「36 か月」またはアクティビティを自動削除しない、から選びます
  4. 「次へ」をクリックします

既定は18か月です。業務で使うなら3か月に縮めておくと、棚卸しの手間が減ります。ただし期間を縮めても、オンのあいだの会話が訓練に使われる点は変わりません。訓練利用を止める操作は、あくまで上のオフです。なお「アクティビティを自動削除しない」を選ぶと無期限になるので、既定より長い側にも倒せる設計だという点は押さえておいてください。

過去の履歴を削除する手順

  1. 同じ「アクティビティ」の画面で「削除」をクリックします
  2. 「全期間」「1 時間以内」「過去 1 日間」「指定の期間」から範囲を選びます

特定の1日だけ消したいときは日付の横の削除アイコン、1件だけ消したいときはアクティビティ横の削除アイコンを使います。貼った資料が1件だけ特定できているなら、全期間を消す必要はありません。

設定を触らずに1回だけ切り離す

チャット単位で切り離したいなら一時チャットを使います。一時チャットは訓練に使われず、人間のレビュアーによるAI改善にも使われません。保持は72時間で、保護目的の確認は一時チャットでも行われます。設定を恒久的に変えたくない場面に向きます。一時チャットはその会話1本の扱いを変える機能で、端末のログイン状態やダウンロードしたファイルを片付けるものではありません。


5. 【法人向け】管理コンソールで決まること・決まらないこと

会社のWorkspaceアカウントで使っている場合、出発点が個人とは違います。Workspace生成AIプライバシーハブと Workspace with Gemini for Business のFAQ(2026-09-19 UTC更新)は、顧客データについて「送信されたデータがモデルのトレーニングに使用されることはなく、人間が確認することもありません」と書いています。つまり、個人アカウントで必要だったオプトアウト操作は、Workspaceでは前提として組み込まれています。

情シス側がやることは「学習を止める」ではなく「どこまで使わせるか」の線引きです。

管理コンソールでGeminiアプリをオン/オフする

  1. 管理コンソールでメニュー アイコンを開きます
  2. 「生成 AI」を選びます
  3. 「Gemini アプリ」を選びます
  4. 「サービスのステータス」を開きます
  5. 「オン(すべてのユーザー)」または「オフ(すべてのユーザー)」を選びます
  6. 「保存」をクリックします

組織部門やグループを選んでから操作すれば、対象を部署単位に絞れます。全社一律で止めずに、機密度の高い部門だけオフにする運用が取れます。

会話履歴の保持期間を管理者が決める

  1. メニュー アイコン →「生成 AI」→「Gemini アプリ」と進みます
  2. 「Gemini 会話履歴」を開きます
  3. 「会話の保持」で3か月・18か月・36か月から選びます

この設定には管理者しかアクセスできません。何も変えずに展開した場合の既定は18か月で、選べる最小は3か月です。会話履歴そのものをオフにすると、新しいチャットは最長72時間ユーザーのアカウントに保存されます(Geminiアプリをオンまたはオフにする、Workspace 生成AIプライバシーハブ、2026-10-04確認)。既定のまま使わせるか、短くするかを決めておくのが管理者の仕事です。

Workspaceサービス内のGemini機能を個別に切る

Gmail や Docs の中に出てくるGemini機能は、Geminiアプリとは別の設定です。

  1. メニュー →「Generative AI」→「Gemini for Workspace」と進みます
  2. 「Feature access」パネルを開きます
  3. 対象を絞るなら組織部門または設定グループを選びます
  4. 対象サービスの横の「Edit」をクリックします
  5. 「On」または「Off」を選び、「Save」をクリックします

対象はGmail、Calendar、Drive、Docs、Sheets、Slides、Forms、Drawings、Vids、Meet、Chat、Google Workspace Studio です(2026-09-18 UTC時点のヘルプ)。このページには “To access Gemini in Workspace services, users need to turn on smart features and personalization” という条件が付いています。管理者がオンにしても、ユーザー側のスマート機能とパーソナライズの設定次第で使えません。逆に、ユーザー側の設定が残っている限り、管理者だけを見ていても全体像はつかめません。

もう1つ注意が要るのは、この設定が切るのはそのサービスの中のGemini機能で、そのサービスのデータへのアクセスではない点です。同じページには、Driveに対してGeminiをオフにしていても、Gmailの中のGeminiからDriveのファイルについて尋ねられる、という例が書かれています(“Even if Gemini is off for a specific app, users can still access its data when using Gemini in other apps."、2026-10-04確認)。

管理コンソールで決まらないこと

決まらない部分を先に挙げておきます。社員の個人Googleアカウントは管理対象外です。会社の端末から私物アカウントでGeminiを開けば、それは①の行の扱いになります。FAQも「仕事用または学校用の Google アカウントをお持ちの場合、Gemini アプリの使用には異なるデータ処理条件が適用されることがあります」と書いており、裏を返せばアカウントが違えば条件も違うということです。ここは第8章で扱います。

管理者ヘルプのURLが移転しています

法人向けの手順を検索すると、古い support.google.com/a/answer/... 形式のリンクを貼った記事が多く出てきます。2026-09-21にHTTPリクエストで確認したところ、少なくとも次の3本が301 Moved Permanently で knowledge.workspace.google.com の対応ページへ転送されました。

旧URL転送先(knowledge.workspace.google.com 配下)
support.google.com/a/answer/15706919/admin/gemini/generative-ai-in-google-workspace-privacy-hub
support.google.com/a/answer/14130944/admin/gemini/gemini-for-google-workspace-faq
support.google.com/a/answer/14571493/admin/gemini/turn-the-gemini-app-on-or-off

2026-10-04に同じ3本を再度たどると、転送先はさらに /admin/generative-ai/ 配下(例: /admin/generative-ai/generative-ai-in-google-workspace-privacy-hub、/admin/generative-ai/gemini-app/turn-the-gemini-app-on-or-off)へ移っていました。本記事のリンクは2026-10-04時点の転送先に合わせています。

support.google.com/a/answer/13623885 も同日時点で301転送されますが、転送先は knowledge.workspace.google.com のトップページで(hl 指定の有無にかかわらず同じ)、個別ページへのマッピングは失われています(support.google.com/a/answer/13623885、2026-09-21確認)。対応する Manage access to Gemini features in Workspace services 自体は同ドメイン配下に実在するため、目的のページには検索で辿り直す必要があります。

一方で support.google.com/a/users/answer/17010577(Gemini による Workspace データへのアクセスのコントロール)は同日時点で転送されず、Workspace ラーニング センター側に残っていました。管理者向けヘルプが新ドメインへ移る途中で、全部が移ったわけではない、という状態です。

ページ名も変わっています。FAQは移転先で「Google Workspace with Gemini for Business に関するよくある質問」というタイトルになっており、旧記事が引用している見出し文言と一致しません。古いリンクを踏んで見出しが違っても、転送先が正であると考えて差し支えありません。


6. オフにして失うもの、それでも残るもの

残るもの:72時間と最長3年

オフにしたあとも残るのは2つです。1つは最長72時間の保持。もう1つは、人間レビューに回った分の最長3年です。後者は履歴を削除しても消えません。

Chats reviewed by human reviewers (and related data like your language, device type, location info, or feedback) are not deleted when you delete your activity. Instead, they are retained for up to three years. (Gemini Apps Privacy Hub、2026年9月24日更新、2026-10-04確認)

日本語版も同旨で、「レビュー済みのフィードバックとそれらに付随する会話、関連データは、Google アカウントとは切り離された形で最長 3 年間保存されます」と書かれています。アカウントから切り離されるため、あなたの履歴画面からは辿れません。辿れないことと存在しないことは別です。

2つの数字の関係を整理すると次のとおりです。オフ設定の会話と一時チャットは、アカウントと最長72時間保持されます。人間レビュー済みの会話やフィードバックなどはアカウントから切り離され、アクティビティを削除したあとも最長3年保持されることがあります。どちらも上限で、別々の条件に対する規定です。すべての会話がどちらか一方の期間だけ残る、という二択ではありません。アクティビティをオンにしている間の会話は、これとは別に自動削除の設定(既定18か月)に従います。

手元の設定でいじれるのは、アクティビティの自動削除期間(3・18・36か月・無期限)とオン/オフです。レビュー済みの分の保持には触れません。自動削除を3か月にしても、レビュー済みの分は最長3年保持されることがあります。

オフ設定を自分から破る代表的な操作:フィードバック送信

ここが見落とされやすい箇所です。オフにしていても、自分から親指マークなどでフィードバックを送ると、その時点で直近24時間のチャットが文脈として一緒に収集されます。

If Keep Activity is off and you choose to submit feedback, Google collects and uses the following data to help maintain and improve Gemini Apps: your feedback, context that can help us better understand your feedback, including the last 24 hours of your chats.

そして送ったフィードバックとそれに付随する会話がレビューされると、アカウントから切り離されて最長3年保持されることがあります。機密資料を扱うセッションでは、回答の出来が悪くてもフィードバックを送らない、というのが具体的な運用ルールになります。この1点だけで、オフ設定の意味がかなり変わります。

失うもの

オフにすると、次が使えなくなるか劣化します。

  • 会話履歴の一覧への記録。オフにしたあとの会話はアクティビティに表示されず、あとから開き直せません。長い作業を数日かけて続ける使い方とは相性が悪くなります。オフにする前に保存済みの履歴は、「オフにしてアクティビティを削除」を選ぶか自分で削除しない限り残ります
  • 直近24時間を超える過去のやりとりを踏まえた応答。前回の指示を覚えている前提のプロンプトが効かなくなります。ただし直近24時間分は文脈として引き続き使われます(Gemini Apps Privacy Hub)
  • パーソナライズ系の機能。一部のアプリ連携は利用できなくなり、あなたの利用傾向に基づく挙動は弱くなります(Geminiアプリ プライバシーハブ)

訓練利用を止めたいなら、選ぶべきはオフです。自動削除を3か月に縮めるのは保存期間の調整で、訓練利用は止まりません。履歴を使いたい事情があってオンのまま使うなら、それを承知したうえで、機密案件だけ一時チャットに切り替える分け方になります。筆者の見立てでは、恒久的にオフにすると履歴が使えない不便からオンに戻し、戻したことを忘れる、という失敗が起こりえます。


7. 設定が見つからない・オフにできないときの早見表

症状原因対処
「Gemini アプリ アクティビティ」という項目が見つからないブラウザ版はトグル名が「アクティビティの保存」に変わっているブラウザ版は「設定とヘルプ」→「アクティビティ」から入る
設定項目がグレーアウトして押せない会社・学校のWorkspaceアカウントで、管理者が制御している管理者に「生成 AI」→「Gemini アプリ」の設定状況を確認する
Gmail や Docs の中のGeminiだけ消えないGeminiアプリとは別の設定(Feature access)管理者が「Gemini for Workspace」→「Feature access」で該当サービスをOffにする
管理者がオンにしたのにユーザーが使えないユーザー側のスマート機能とパーソナライズがオフユーザー側の設定を確認する。管理者操作だけでは完結しない
オフにしたのに直近の会話が反映される直近24時間のチャットが応答の文脈に使われている仕様。オフ中の会話はアクティビティに表示されないため、履歴削除で即時に消せるものではない
履歴を削除したのに残っている気がする人間レビュー済みの分は削除対象外削除では消せない。最長3年保持されうる前提で判断する
検索で出た管理者ヘルプのリンクが別ドメインに飛ぶ旧 support.google.com/a/... からの301転送knowledge.workspace.google.com 側が現行。第5章の対応表を参照

解決しない場合の次の一手は、まず自分がどのアカウントでログインしているかを確認することです。ブラウザに複数のGoogleアカウントがぶら下がっていると、個人アカウントの設定画面を見ながら会社アカウントのGeminiを使っている、という食い違いが起きます。それでも合わない場合は、管理コンソールの権限を持つ担当者に第5章の3経路(Geminiアプリ、Gemini 会話履歴、Feature access)を順に確認してもらってください。


8. 設定だけでは防げないこと

オプトアウトが効くのは、その設定が紐づいたアカウントの中だけです。実務で漏れるのは、たいてい設定の外側です。

別アカウントからの入力。 会社の端末で私物のGoogleアカウントに切り替えてGeminiを開けば、管理コンソールのGeminiアプリの設定はかかりません。個人アカウントの既定は18か月保持・訓練ありです。筆者の想定では、Workspaceを固めるほど、社員が制限のない私物アカウントに流れる動機は強まります。ここを塞ぐには技術ではなく、どのアカウントで業務データを扱ってよいかを明文化する必要があります。

ブラウザ拡張と統合ツール。 Gemini本体の設定をオフにしても、間に挟まるサードパーティのツールがどこにデータを送っているかは別問題です。拡張機能の権限とプライバシーポリシーは個別に確認するしかありません。

転記と要約の再投入。 社内文書の一部を手で貼り直す、他のAIの出力を貼る、といった経路は設定の管理外です。「貼っていいもの」の基準を人が持っていないと、設定をいくら締めても意味がありません。

フィードバックボタン。 第6章に書いたとおり、これはオフ設定を越えて直近24時間を送ります。社内ガイドラインに書くなら、この1行は入れておく価値があります。

何が記録され何が残るかを製品ごとに読む習慣については、別のツールを題材にした /posts/chatgpt-computer-history-macos-accessibility-events-2026/ も参考になります。


9. そもそも送信しない選択肢

上位に並ぶ記事はどれも「設定をどう締めるか」で終わります。もう一段手前に、送信しないという選択肢があります。

現実的な形は2つです。

1つは、根拠にする資料の範囲を絞るやり方です。登録した資料だけを根拠に答えるタイプのツールを使えば、扱う情報の出入りを1か所に集められます。この考え方は /posts/what-is-notebooklm-gemini-notebook-rename-2026/ に整理しました。ただしこれはGoogleのサーバに送らないという話ではなく、送る範囲を管理可能にする話です。

もう1つが、ローカルで動かす経路です。推論を手元で完結させ、外部のツール連携やクラウド機能を使わない構成にすれば、文書は外部に出ません。小さな量子化モデルなら一般的なPCでも動きますが、要約の品質と速度は機材とモデルの規模に左右されます。筆者環境はNVIDIA DGX Spark(GB10 Blackwell、統合メモリ128GB、aarch64)で、以下はこの機材を前提にした話です。128GBは筆者の機材の仕様で、ローカル実行の最低要件ではありません。同じ機材での実測条件と挙動は /posts/local-video-gen-ai-ltx-2-3-dgx-spark-gb10-arm64-howto-2026/ に書いたとおりで、専有VRAMを持たない統合メモリ機では一般的な「VRAM 何GB」という物差しがそのまま使えません。

本記事では、ローカル実行の要約品質や所要時間について新たな実測は取っていません。数値を出さずに判断材料だけ書くと、次のようになります。文書1本の要約であれば、統合メモリ128GB級の機材に中規模の量子化モデルを常駐させる構成で成立します。一方、数十人が日常的に使う速度と品質を求めるなら、機材コストと運用の手間がクラウドの利便を上回る場面は多くない、というのが筆者の見立てです(実測ではありません)。「全部ローカルに移す」ではなく、「これだけは絶対に外に出さない」という1〜2種類の文書に限って適用するのが、現実的な使い分けです。


10. よくある質問

アクティビティをオフにすれば、過去に貼った資料も消えますか

消えません。オフにする操作は以後の記録を止めるだけです。過去分も消したい場合は「オフにしてアクティビティを削除」を選ぶか、「削除」→「全期間」を実行してください。ただし人間レビュー済みの分は、どちらの操作でも消えず、最長3年保持されることがあります。他のGoogleサービスに保存されたデータも、Geminiアプリ アクティビティの削除では消えません。

Google AI Pro や Ultra に課金すれば学習されなくなりますか

Geminiアプリ プライバシーハブには、課金プランであっても訓練利用や保持期間の扱いを無料アカウントと区別する記述を確認できませんでした(2026-09-21時点。収集項目としてサブスクリプション情報が加わる旨の記載はあります)(Geminiアプリ プライバシーハブ)。課金と訓練利用は別の軸です。訓練に使わせたくないなら、プランではなくアクティビティの保存をオフにするか、一時チャットを使ってください。

APIから送った分はどうなりますか

無料枠とGoogle AI Studioは、規約上ここで書いた例外を除いて製品改善に使われ、人間のレビュアーが読むことがあります。規約には機密情報を送信するなと明記されています。訓練対象から外したいなら有料枠を使います。有料枠でも違反検知目的の限定ログは残り、検索・Mapsグラウンディングを使った場合は30日保存されます。

一時チャットと、アクティビティをオフにするのは何が違いますか

アカウントに残る期間はどちらも72時間で、訓練に使われない点も共通です。オフ設定についても「アクティビティの保存がオフで、フィードバックを送らなければ、Googleは以後のチャットをAIモデルの改善に使わない」と明記されています(Gemini Apps Privacy Hub)。違うのはパーソナライズと適用範囲です。一時チャットはパーソナライズや記憶にも使われず、人間のレビュアーが目を通して Google AI の改善に使われることもないと明記されています。どちらの場合も、保護目的の人間のレビュアーによる確認はありえます。一方、アクティビティの保存をオフにした状態でフィードバックを送ると直近24時間のチャットごと収集され、レビュー済みの分は最長3年保持されることがあります。適用範囲も違い、一時チャットはその会話1本だけ、オフ設定は以後すべてに効きます。普段は履歴を使いたい人は、設定を触らず必要なときだけ一時チャットに切り替えるほうが実用的です。

会社のWorkspaceアカウントなら何もしなくて大丈夫ですか

訓練とレビューについては、公式ドキュメントが顧客データを対象外と明記しています。ただし保持期間は管理者設定に依存し、Geminiアプリは最大36か月まで設定できます。また、社員が私物アカウントに切り替えれば設定の外に出ます。「何もしなくてよい」ではなく、「個人と違う場所を締める必要がある」と考えてください。


11. まとめ:今日やるチェックリスト

  • 自分が第3章のどの行にいるかを先に確定します。個人アカウントか、会社のWorkspaceか、APIか。行が違えば押すボタンが変わります
  • 個人アカウントで訓練利用を止めるなら、ブラウザ版の「設定とヘルプ」→「アクティビティ」でオフにします。3か月の自動削除はオフの代わりになりません。過去分も消すなら「オフにしてアクティビティを削除」を選びます
  • オフにしても最長72時間は残ること、保護目的の人間レビューはありうること、人間レビューに回った分は削除しても最長3年保持されうることを前提に、貼る資料を選びます
  • 機密セッションではフィードバックを送りません。オフ設定を越えて直近24時間が一緒に送られます
  • 管理者は「生成 AI」→「Gemini アプリ」のサービス状態、「Gemini 会話履歴」の保持期間、「Feature access」の3か所を確認します。古い support.google.com/a/... のリンクは knowledge.workspace.google.com へ移転しています
  • 絶対に外へ出せない資料は、設定ではなく送信しない側で解きます。ローカル実行は機材とモデルの規模で品質と速度が変わるので、対象を1〜2種類に絞ってください

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