何が起きたのか

MiniMax が動画生成モデル MiniMax-H3 の重みを Hugging Face で公開しました。日付は 3 つに分けて読む必要があります。H3 というモデル自体は 2026 年 7 月 31 日に MiniMax プラットフォームの API と Hailuo アプリで先行してローンチされており、ライセンス文書に記載された日付は 8 月 2 日、そして 8 月 3 日に公開されたのが「オープンウェイト」です。公式モデルカード(Hugging Face MiniMaxAI/MiniMax-H3)によると、H3 は 33B パラメータの dense・単一ストリーム Transformer で、テキスト・画像・動画・音声を入力に取り、4〜15 秒・最大 2K・24FPS の映像と 32kHz ステレオ音声を同時に生成します。推論精度は BF16 です。

ただし、この「最大 2K」はシステム全体の仕様です。今回ローカルに降りてきた中核の H3-Base について、モデルカードは「Generates audio and video based on the H3-Context-IR output, producing results at 768p resolution」と書いています。2K 化を担う H3-Regenerate-2K については「Due to the complexity of the system, this module is not yet open-sourced. We will release it once it is ready」と明記されており、今回のオープンウェイト公開には含まれていません。公式品質の 2K を得る経路は、現時点では MiniMax の API 側に残っています。

同じ 8 月 3 日、ComfyUI が day-0 サポートを発表しました。公式ブログ(ComfyUI Blog 2026-08-03)は「MiniMax H3 dropped today with open weights, and it’s natively supported in ComfyUI as of this morning」と書き、int8 convrot 量子化とカスタムカーネル、さらに変調(modulation)重みの枝刈りによって、モデル全体のメモリフットプリントを 123.6GB から 42.5GB へ、66% 削減したと述べています。同ブログはこれにより「a next-generation 2K video model to run locally on a GPU like the RTX 3060」が可能になったとしています。これは ComfyUI 側の表現であり、公式の完全な 2K パイプラインが完全ローカルで動くという意味ではありません。2K 化モジュールは前段のとおり非公開です。また 42.5GB という数字も、同ブログが「42.5 GB with the smallest models variants」と書くとおり最小構成の値で、後述するように FL2VA / Ref2VA のどちらか一方のタスクだけを回す場合の合計です。

この記事では、その 66% がどこから来ているのかを配布ファイルの実容量と一次情報の突き合わせで確かめ、Artificial Analysis の順位を一次ページで確認したうえで、コミュニティライセンスの条項を読みます。日本の開発者にとって、最後の論点が一番重要になります。


1 本のバックボーンで映像と音声を出す構造

モデルカードが H3-Omni-Transformer と呼ぶ本体は、3 次元の Multimodal RoPE(MM-RoPE)を使う dense な単一ストリーム構成です。映像用と音声用に別々の塔を立てて後から融合するのではなく、1 本の系列に畳んで処理します。ComfyUI ブログが音声を「native stereo generation」(後処理ではない)と表現しているのは、この構造に対応します。

周辺モジュールは分業しています。テキスト・画像・動画の理解を担う H3-Encoder は Qwen3-VL-32B の事前学習重みをそのまま使い、その第 50 層の hidden states を H3-Omni-Transformer へ渡します(モデルカードの表現は「uses the full pretrained weights of Qwen3-VL-32B and provides the hidden states from its 50th layer to the H3-Omni-Transformer」)。映像は H3-VisualVAE(f16t4d24)、音声は H3-AudioVAE が潜在空間に落とします。出力側では H3-Regenerate-2K が 2K 化を担当し、既定の生成解像度は短辺 768 ピクセルです。つまり 2K は本体が直接出しているのではなく、専用モジュールを通した結果であり、そのモジュールが今回は降りてきていない、ということになります。

タスクは 2 つに整理されています。FL2VA はテキストに加えて先頭・末尾フレームを 0〜2 枚受け取る方式、Ref2VA は参照素材を投げ込む方式で、画像 9 枚以下・動画 3 本以下(各 2〜15 秒、かつ合計 15 秒以下)・音声 3 本以下(各 2〜15 秒、かつ合計 15 秒以下)、ただし全入力ファイル数の合計は 12 までという上限が設定されています。音声については「audio must be accompanied by image or video input and cannot be used as the sole input」とされ、単独入力にはできません。対応言語は日本語を含む 11 言語です。

実務上見落としやすいのは、ComfyUI 公式チュートリアル(ComfyUI Docs)が示すファイル構成です。拡散本体は minimax_h3_fl2va_pruned_int8_convrot.safetensorsminimax_h3_ref2va_pruned_int8_convrot.safetensors に分かれており、タスクごとに別チェックポイントを持つ設計です。両方使うなら 42.5GB を 1 回落として終わり、とはいきません。


123.6GB から最小 42.5GB へ──内訳を実ファイル容量で確かめる

削減率そのものは素直な計算です。

$$ \frac{123.6 - 42.5}{123.6} = \frac{81.1}{123.6} \approx 0.656 $$

約 65.6%、ComfyUI ブログの「66%」と一致します。問題は分子の中身です。

内訳は推定に頼らなくても、配布ファイルの容量をそのまま足せば確認できます。ComfyUI 版の配布リポジトリ Comfy-Org/MiniMax-H3 のファイル一覧(Hugging Face API、2026 年 8 月 4 日時点)から拾うと、次のとおりです。

ファイル容量
diffusion_models/minimax_h3_fl2va_pruned_int8_convrot.safetensors20,970,379,616 バイト(約 20.97GB)
diffusion_models/minimax_h3_ref2va_pruned_int8_convrot.safetensors20,970,379,616 バイト(約 20.97GB)
text_encoders/qwen3vl_32b_minimax_h3_nvfp4_awq.safetensors15,687,142,551 バイト(約 15.69GB)
vae/minimax_h3_video_vae_fp16.safetensors5,207,808,496 バイト(約 5.21GB)
vae/minimax_h3_audio_vae_fp32.safetensors605,254,808 バイト(約 0.61GB)

拡散本体を 1 本だけ選び、テキストエンコーダと 2 つの VAE を足すと 42,470,585,471 バイト、約 42.47GB になります。ComfyUI ブログの 42.5GB はこの組み合わせ、つまり単一タスク用の最小構成の数字です。FL2VA と Ref2VA の両方を回すなら拡散本体をもう 1 本、約 21GB 追加でダウンロードすることになり、合計は約 63.4GB に膨らみます。同じリポジトリには BF16 版も置かれており、圧縮前の 123.6GB がどこから来ているかもここで確認できます。拡散本体 BF16(66,280,487,368 バイト)+テキストエンコーダ BF16(51,506,295,256 バイト)+映像 VAE +音声 VAE で 123,599,845,928 バイト、約 123.6GB です。ComfyUI ブログの 2 つの数字は、どちらも同じ構成の前後を指しています。

なぜ拡散本体が約 21GB に収まるのかは、パラメータ側から追えます。ここで 2 つの一次情報が噛み合います。ComfyUI ブログは、枝刈りの対象である変調重みが「approximately 40% of total parameters」だと書いています。一方モデルカードは、33B のうち約 13B が AdaLN ブランチにあると記載しています。AdaLN は拡散 Transformer で条件付けの変調を担う層で、$13.0 / 33.1 \approx 0.393$ ですから、両者は同じ部分を指していると読めます。ただし用語の出どころは分けて読む必要があります。ComfyUI ブログ本文に AdaLN という語は登場せず、同ブログは変調重みを枝刈りして「機能的に等価なルックアップテーブル」へ置き換えたと述べているだけです(ComfyUI Blog 2026-08-03)。その変調重みが AdaLN 系ブランチにあるという情報は、33B のうち約 13B がそこに存在すると書くモデルカード側に由来します(Hugging Face MiniMaxAI/MiniMax-H3)。両者を突き合わせて同一視しているのは筆者です。

これを踏まえてパラメータ側から容量を組み直すと、次のようになります(以下は筆者による再構成で、ComfyUI がパラメータ単位の内訳を公表しているわけではありません)。

$$ \underbrace{(33.1 - 13.0) \times 1}_{\text{拡散本体 int8}} + \underbrace{32 \times 0.5}_{\text{テキストエンコーダ NVFP4}} \approx 20.1 + 16.0 = 36.1\ \text{GB} $$

テキストエンコーダを 4bit として計算したのは、ComfyUI チュートリアルが配布ファイル名を qwen3vl_32b_minimax_h3_nvfp4_awq.safetensors と明記しているためです。ここに映像 VAE(fp16)と音声 VAE(fp32)を足すと、前掲の実ファイル容量 42.47GB と整合的な水準に着地します。

要するに 66% は、量子化だけでも枝刈りだけでもなく、拡散本体を int8、テキストエンコーダを 4bit、AdaLN 分岐をテーブル置換という 3 手を重ねた合計です。RTX 3060 で動くという主張は、42.5GB がまるごと VRAM に乗ることを意味しません。ComfyUI ブログが書いているのは「custom kernels reduce the peak VRAM use during inference」までで、オフロードの方式や粒度には触れていません。12GB クラスの VRAM で回すなら、動的なメモリオフロードないし VRAM 節約カーネルの併用が前提になるはずですが、具体的な構成は自分の環境で測るべき部分です。


Artificial Analysis の順位を一次ページで確認する

二次情報では「動画生成 1 位」という表現が流通していますが、一次ページを見ると領域ごとに位置が違います。2026 年 8 月 4 日時点で確認した Quality Elo は次のとおりです。

領域H3 の順位H3 の Elo上位モデル
Video Editing1 位1,130─(2 位 Gemini Omni Flash 1,122)
Text to Video2 位1,239Gemini Omni Flash 1,244
Image to Video3 位1,186Seedance 2.0 720p 1,196 / Gemini Omni Flash 1,192

Artificial Analysis Text to VideoImage to VideoVideo Editing の各リーダーボードで確認)

この表は 2026 年 8 月 4 日時点のスナップショットです。Artificial Analysis の Quality Elo はブラインド比較の投票が集まるたびに更新される可変データで、各ページに「最終更新」の表示もありません。順位もスコアも、読んだ時点では入れ替わっている可能性があります。

1 位を取っているのは動画編集の 1 領域で、しかも 2 位との差は 8 ポイントです。text-to-video に至っては Gemini Omni Flash との差が 5 ポイントしかありません。Elo の 5 ポイント差は勝率にすると約 50.7% で、実質的に区別がつかない範囲です。「1 位」という一語で丸めると、この 3 つの異なる状況が消えます。

意味があるのは絶対順位より、これがオープンウェイトである点です。上位に並ぶ Gemini Omni Flash と Seedance 2.0 はいずれも API 経由の商用モデルで、重みは配布されていません。Image to Video のページが H3 を「オープンウェイトの Image to Video モデル(音声あり)の中で首位」(currently leads among open weights Image to Video models with audio、Elo 1186)と注記しているのは、その区別を指しています(Artificial Analysis Image to Video)。同ページには 1 分あたり 7.80 ドルという API 価格も併記されています。ただしこれは同ページの脚注が「API Pricing reflects the cost to generate 1 minute of 1080p video on the model creator’s API at the model’s default settings」と断るとおり、モデル提供元の API で 1080p・デフォルト設定の動画を 1 分生成した場合の比較値です。解像度別・尺別の実際の課金体系そのものではありません。ローカル実行を選ぶかどうかの損益分岐は、この前提を踏まえて計算することになります。


ライセンスを読む──日本は除外地域に入っていない

MiniMax H3 Community License Agreement には、オープンウェイトのライセンスとしては珍しい条項があります。

“Applicable Territory” means worldwide, excluding the Excluded Territories. “Excluded Territories” means the European Union, the United Kingdom, the Republic of Korea and the United States of America.

MiniMax H3 Community License Agreement

EU、英国、韓国、米国の 4 地域が適用範囲から外れています。日本はこの列挙に含まれておらず、コミュニティライセンスの適用地域に入ります。ただしこれは「列挙にない」という事実であって、MiniMax が日本での利用を積極的に保証したという話ではありません。公式 QA は「We will continue monitoring legal developments and reassessing the territory scope」として今後の見直しを明言しているため、時点限定の条件として読む必要があります。日本の開発者にとっては、他国の解説記事をそのまま読んでいると見落とす差分です。

商用利用そのものは条項上可能ですが、条件は 1 つではありません。年間収益が 2,000 万ドルを超える製品・サービスで使う場合は、[email protected] への連絡による事前の書面許諾が別途必要です。加えて、商用の製品・サービスでは UI 上に「MiniMax H3」を目立つ形で表示すること、第三者への配布時には所定の NOTICE ファイルを同梱することが求められます。派生モデルの定義には、蒸留や合成データ経由でパターンを他モデルへ移す行為も含まれます。

機械生成であることの開示は、義務の強さが 2 段階に分かれている点に注意が必要です。生成ファイルへの AI 識別子の付与は「You are encouraged to: … add an AI-generation identifier to files produced using generative AI models including MiniMax H3」(Section III.3)とあり、推奨にとどまります。一方、LICENSE 末尾に Exhibit A として同梱された Acceptable Use Policy は、開示なしの公開を禁止行為として列挙しています。「Use to generate and/or disseminate information (including images, code, posts, or articles) in or to any public environment (including via bot tweets or similar means) without clearly and prominently disclosing that such information and/or content is machine-generated」(Exhibit A 第 12 項)。手元のファイルに識別子を埋めるのは推奨、公開環境へ画像・投稿・記事として出すときの明確な開示は必須、という切り分けです。

見落としやすい制約はほかにもあります。地域制限は Works だけでなく Outputs にも及びます(「You may not use, reproduce, modify, distribute, or display the MiniMax H3 Works or any of their Outputs or results outside the Applicable Territory」Section V.4)。H3 系以外の AI モデルの改善に使うことも禁止です(「You may not use the MiniMax H3 Works or any of their Outputs or results to improve any other artificial intelligence model (other than MiniMax H3 or its Model Derivatives)」Section V.3)。第三者に提供する場合は、利用者を Section V と Exhibit A に劣らない条件へ拘束したうえでその適用を通知する義務(Section V.2)、違反の防止・緩和のための技術的・組織的セーフガードを実装・維持・テストし定期的に見直す義務、通報窓口を維持し違反の申告を受けたら調査・是正する義務(Section V.5)が課されます。Exhibit A には軍事目的の利用(第 19 項)や重要領域での高リスク自動意思決定(第 14 項)の禁止も並びます。そして、Materials や Outputs が自分の知的財産権を侵害していると主張して訴訟を提起した場合、「all licenses granted to you under this Agreement will terminate as of the date such suit or proceeding is filed」(Section VI.3)としてライセンスは提訴日付で終了します。

なお、MiniMax らは米国で係争中です。Disney、Universal、Warner Bros. Discovery などが 2025 年 9 月 16 日にカリフォルニア州中部地区連邦地裁へ提訴しており(Disney Enterprises, Inc. et al v. Minimax et al, No. 2:25-cv-08768、PacerMonitor のドケット)、Hailuo AI が著作権保護されたキャラクターを出力すると主張しています(Variety 2025-09-16)。被告は MiniMax 単体ではなく Hailuo AI の運営主体などを含むため、表記としては「MiniMax ら」が正確です。ライセンス本文(LICENSE)は Excluded Territories を EU・英国・韓国・米国と定義するだけで理由を述べていませんが(MiniMax H3 Community License Agreement)、MiniMax は同じリポジトリの docs/QA-about-License.md で、これらの地域が「生成動画モデルに固有の影響を及ぼしうる AI 関連規制を整備ないし執行しつつある地域である」と説明しています。さらに米国については、AI 規制が急速に変化する状況にあることに加えて、MiniMax 自身が生成動画 AI に関する著作権訴訟の当事者でもあると、進行中の訴訟にも明示的に言及しています(MiniMax QA about License)。つまり訴訟を除外理由の一要素として挙げているのは第三者の解説記事だけではなく、MiniMax 自身です。ただし訴訟が単独の決定要因だったかどうかまでは、公式説明からは読み取れません。


残された不確実性

H3-Context-IR の不在が最大の実務的な穴です。モデルカードはこのモジュールを「a hosted preprocessing and orchestration system designed for free-form multimodal inputs」と記載したうえで、「Because H3-Context-IR relies on a multi-stage workflow and multiple hosted models and services, it is not included in this open-source release」と明記しています。つまり手元で動くかどうかを試す以前に、公開されていません。API と同等の前処理を完全ローカルで再現するには、独自のコンテキスト処理系を自前で構築する必要があり、その分だけ Ref2VA の挙動が API 版と揃わない可能性が残ります。

RTX 3060 での実効性能も未検証です。ComfyUI ブログは動作可能だと述べていますが、生成時間の実測値は公表していません。42.5GB をオフロードしながら 12GB クラスの VRAM で回す場合、1 本あたりの所要時間が実用範囲かどうかは別問題です。

枝刈りの品質影響について、ComfyUI ブログは「no loss in output quality」としていますが、その裏付けとなる定量データは同記事に示されていません(ComfyUI Blog 2026-08-03)。第三者による定量的な検証も筆者が確認した範囲では見当たらず、Hugging Face 上の量子化配布リポジトリ(例: Abiray/Minimax-H3-nvfp4-INT4-INT8-Convrot)も GPU 別の推奨量子化やファイル構成を示すにとどまり、フル精度との品質比較データは掲載していません。AdaLN 分岐の 40% をルックアップテーブルへ置換した影響が、長尺やスタイル追従でどう出るかは未知数です。

Elo の変動にも注意が必要です。Artificial Analysis のスコアは投票の蓄積で動きます。5〜10 ポイント差の順位は、数週間後には入れ替わっている可能性があります。

除外地域の運用、たとえば日本法人が米国のユーザーへサービスを提供する場合は、Section V.4 が Outputs の域外での利用・複製・改変・配布・表示まで禁じている以上、文言上は原則として許諾範囲外となる可能性が高いと読めます。ただし「outside the Applicable Territory」を何で判定するのか(提供者の所在地か、利用者の所在地か、配信先か)はライセンス本文に定義がありません。商用展開を考えるなら専門家の確認が必要な部分です。


まとめ

MiniMax-H3 の重み公開で確認できたのは、次の点です。33B の dense 単一ストリーム構成が、4〜15 秒・24FPS の映像と 32kHz ステレオ音声を 1 本のバックボーンから出す。ただしローカルに降りてきた中核 H3-Base の出力は 768p で、2K 化を担う H3-Regenerate-2K と前処理の H3-Context-IR はどちらも今回の公開に含まれていません。123.6GB から 42.5GB への 66% 削減は、int8 convrot・NVFP4 テキストエンコーダ・AdaLN 分岐のテーブル置換という 3 手の合計であり、モデルカードの「約 13B が AdaLN」という記述が ComfyUI の「約 40%」を裏付けています。42.5GB は配布ファイルの実容量の合計(42,470,585,471 バイト)と一致しますが、これは拡散本体 1 本ぶん、単一タスク用の最小構成の数字です。

Artificial Analysis で 1 位を取っているのは動画編集の 1 領域のみで、text-to-video と image-to-video では商用 API モデルの後塵を拝しています(いずれも 2026 年 8 月 4 日時点)。ただし差は数ポイントで、しかも H3 は重みが手元に降りてくる側にいます。

そして日本の開発者にとっては、EU・英国・韓国・米国を除いた適用範囲という条項が、技術仕様と同じくらい実務的な意味を持ちます。日本は Excluded Territories に含まれておらず、条項上、商用利用の余地があります。ただし満たすべき条件は年間収益 2,000 万ドルのしきい値と UI 表示だけではありません。Outputs にも及ぶ地域制限(Section V.4)、利用者を同等条件へ拘束する義務(V.2)、セーフガードと通報窓口の維持(V.5)、公開生成物が機械生成である旨の開示(Exhibit A 第 12 項)、NOTICE 同梱を含む再配布条件、禁止用途(H3 系以外の AI モデル改善への利用禁止=V.3、軍事目的=Exhibit A 第 19 項、重要領域での高リスク自動意思決定=同第 14 項)、知財訴訟の提起でライセンスが終了する条項(VI.3)まで含め、ライセンスと Acceptable Use Policy 全体への準拠が必要です。触るなら、まず H3-Context-IR 相当の前処理を自前で組む前提を織り込むところからになります。


主要出典

  • MiniMaxAI/MiniMax-H3 モデルカード(Hugging Face) — 33B dense 単一ストリーム、約 13B が AdaLN ブランチ、MM-RoPE、H3-Encoder(Qwen3-VL-32B の全事前学習重みを使用し第 50 層の hidden states を供給)/ H3-VisualVAE / H3-AudioVAE、BF16、4〜15 秒・短辺 768px 既定・24FPS・32kHz ステレオ、H3-Base は 768p 出力、H3-Regenerate-2K は「not yet open-sourced」、H3-Context-IR は「not included in this open-source release」、FL2VA と Ref2VA の入力上限(動画・音声とも合計 15 秒以下、音声単独入力不可、全ファイル 12 まで)、対応 11 言語を記載
  • MiniMax H3 Community License Agreement — Excluded Territories(EU・英国・韓国・米国)、年間 2,000 万ドル超の事前書面許諾、UI での「MiniMax H3」表示義務、NOTICE ファイル同梱、蒸留を含む派生モデル定義、AI 生成識別子は Section III.3 で「encouraged」、Outputs の域外利用・配布・表示の禁止(V.4)、他 AI モデル改善への利用禁止(V.3)、利用者拘束(V.2)とセーフガード義務(V.5)、知財訴訟提起によるライセンス終了(VI.3)、Exhibit A(Acceptable Use Policy)に開示なしの公開禁止(第 12 項)・高リスク自動意思決定(第 14 項)・軍事目的(第 19 項)
  • MiniMax H3 Day-0 Support in ComfyUI(ComfyUI 公式ブログ、2026-08-03) — day-0 サポート、重みは Comfy-Org/MiniMax-H3、int8 convrot 量子化とカスタムカーネル、変調重み約 40% の枝刈りとルックアップテーブル置換、123.6GB → 42.5GB(-66%、“with the smallest models variants”)、RTX 3060 級での動作に言及
  • Comfy-Org/MiniMax-H3(Hugging Face・ファイル一覧 API) — 2026-08-04 時点の実ファイル容量。pruned int8 convrot 拡散本体は fl2va / ref2va とも 20,970,379,616 バイト、NVFP4 AWQ テキストエンコーダ 15,687,142,551 バイト、映像 VAE 5,207,808,496 バイト、音声 VAE 605,254,808 バイト(拡散本体 1 本構成の合計 42,470,585,471 バイト、BF16 構成の合計 123,599,845,928 バイト)
  • MiniMax-H3 ComfyUI チュートリアル(ComfyUI Docs) — T2V / I2V / R2V の 3 ワークフロー、fl2va と ref2va で分かれた int8 convrot チェックポイント、NVFP4 AWQ 版テキストエンコーダのファイル名
  • Artificial Analysis 動画リーダーボード(Text to Video / Image to Video / Video Editing) — 2026-08-04 時点のスナップショットとして Video Editing 1 位(1,130)、Text to Video 2 位(1,239)、Image to Video 3 位(1,186)、および 1080p・デフォルト設定換算の API 価格 7.80 ドル/分を確認。投票の蓄積で変動する
  • PacerMonitor: Disney Enterprises, Inc. et al v. Minimax et al(No. 2:25-cv-08768) — 提訴日 2025-09-16、カリフォルニア州中部地区連邦地裁、原告一覧(Disney Enterprises / Marvel / Lucasfilm / 20th Century Fox / Universal City Studios Productions / DreamWorks Animation / Warner Bros. Entertainment / DC Comics / Cartoon Network / Turner / Hanna-Barbera ほか)。被告は MiniMax 単体ではない
  • Variety(2025-09-16、本文は転載経由で確認) — Disney・Warner Bros. Discovery・NBCUniversal による MiniMax ら提訴の報道。除外地域との因果関係は本記事では未確認

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