この記事でわかること

  • Flintは、米Recursive Superintelligence, Inc.が出した初のモデルです。手元で動かすコーディングエージェント向けのMoEで、重みはApache 2.0で公開されています
  • 自分の機材で動くかの目安がわかります。公式ランタイムrecは48GB以上のApple Silicon Mac(M4 Pro / M5 Pro / M5 Max)が条件です。rec用の公式INT4重みは約22.6GB、Unslothの4bit GGUFは約25GBで別の配布物です。24GB機なら3bit版を短い文脈で使う形になります
  • 文脈長が資料によって512kと262,144トークンに分かれていることと、配布設定・rec・ホスト型で実際に使われている数字がわかります
  • SWE-bench Pro v2 89.7%などのベンチマークはRecursive自身の測定で、本稿で確認した範囲では第三者の再現は見当たらないことがわかります
  • ホスト型APIの規約では、入力と出力の学習利用を認めることが利用条件になっています(別途の書面合意や第三者経由の設定で条件は変わります)。重みのApache 2.0とは別のルールです

Recursiveは2026年10月21日(UTC)、初のモデル「Flint」を公開しました。総パラメータ39.8B、1トークンあたりの活性は約2.5BのMoE(Mixture of Experts)です。重みはHugging FaceでApache 2.0として配布されています(Recursive『Introducing Flint』2026-10-21、Hugging Face RecursiveSI/flint)。

ノートPCでコーディングエージェントとして使えるかどうかは、メモリ量でほぼ決まります。公式のrecはM4 Pro / M5 Pro / M5 Max・統合メモリ48GB以上のMacでしか重みを落としません。それ以外の機材では、公式ドキュメントが案内するOllama用モデルや、Unslothなどの量子化版(GGUF)を使い、文脈長をメモリに合わせて動かすことになります。


1. 何が起きたか

Recursiveは「再帰的に自己改善する超知能で知識発見を自動化する」ことを掲げるスタートアップで、CEOはRichard Socher氏です。Flintは同社が初めて外に出したモデルです。公式ブログはFlintを「ローカルのハードウェアで速くエージェント的にコーディングするために作ったMoEモデル」と説明しています(Recursive 2026-10-21)。

公開物は次の3つです。

  • 重み: Hugging FaceのRecursiveSI/flintにBF16のチェックポイント(15シャード、合計79.6GB)とSGLang用の配信キット
  • ローカル推論エンジンrec: GitHubのrecursive-oss/recでApache-2.0。Apple Silicon向けに最適化されています
  • 規約: 2026年10月21日付の「Model Terms」。ホスト型サービスとソフトウェアに適用されます(Recursive Model Terms)

日本には株式会社Recursive(recursiveai.co.jp)という別の企業があります。Flintの発表元はrecursive.comを運営するRecursive Superintelligence, Inc.で、法人名もドメインも異なります。Hugging Face上の組織名はRecursiveSIです。


2. 一次資料の対応表

本記事では実機での測定はしていません。数字はすべて次の資料から取りました。確認日はいずれも2026-10-22です。

主張・数字一次資料種別確認日
総39.8B・活性約2.5B、49層(dense 2+MoE 47)、ルーティング専門家256中6+共有専門家1Hugging Face RecursiveSI/flint / config.json公式モデルカード2026-10-22
文脈長262,144トークン(max_position_embeddings)同上公式モデルカード2026-10-22
文脈長は最大512k、推奨は256k以内Introducing Flint公式ブログ2026-10-22
M4 Pro MacBook Proで125 tok/s超、64GBのNVIDIA RTX Sparkで150 tok/s超(短い文脈)同上公式ブログ(公称値)2026-10-22
Terminal-Bench 2.1 54.9%、SWE-bench Pro v2 89.7%、SWE-bench Verified 74.2%モデルカード開発元による測定2026-10-22
recの要件はM4 Pro / M5 Pro / M5 Max、統合メモリ48GB以上、空き容量約30GBdocs.recursive.com /edge/rec / GitHub recursive-oss/rec公式ドキュメント2026-10-22
rec用の公式INT4重みは5シャード合計22,568,912,600バイト(約22.57GB)、max_context 262,144、min_ram_bytes 48GiBrecursive-oss/rec packaging/flint-int4-mlx.json公式配布manifest2026-10-22
Ollama用の公式パッケージflint:40b-a2b-qat-int4docs.recursive.com /edge/ollama公式ドキュメント2026-10-22
4bit GGUF(UD-Q4_K_XL)25.05GB、3bit(UD-Q3_K_XL)18.5GBUnsloth docs: Flint / unsloth/flint-GGUFコミュニティ2026-10-22
ホスト型APIの入出力は学習に使う(利用条件)Model Terms公式規約2026-10-22
2026年5月に評価額46.5億ドルで6.5億ドルを調達TechCrunch 2026-10-21報道2026-10-22
AWSとの4.1億ドル・複数年契約(2026年7月28日発表)AWS press release 2026-07-28公式発表2026-10-22

3. 誰が・何を・いつ(一次資料の数字)

構成: 総39.8B、活性約2.5B

モデルカードの数字は「総39.8B、1トークンあたり活性約2.5B」です。活性の数え方には注記があり、出力ヘッドを含み、入力埋め込み行列の全体は含めません。本体だけなら約2.2Bです。「40B-A2.5B」は丸めた呼び名だと明記されています(Hugging Face RecursiveSI/flint)。報道の「40B」はこの丸めた値です。

config.jsonの主な値は次のとおりです。

項目値
層数49(先頭2層がdense、残り47層がMoE)
専門家ルーティング256個から1トークンあたり6個を選択、常時有効の共有専門家1個
注意機構スライディングウィンドウ35層(窓513トークン)、全文脈注意14層
ヘッドクエリ32、KV 4(GQA)、ヘッド次元128
語彙150,144トークン
知識のカットオフ2026年6月
学習事前学習・中間学習・SFT・強化学習をゼロから実施

公開日と会社

公式ブログの公開日は2026年10月21日で、TechCrunchも同日に報じています。資金調達については本稿では報道に基づきます。TechCrunchの記事『Recursive launches Flint, a laptop coding model it says was largely built by AI』(2026年10月21日)は、同社が5月に6.5億ドル(650 million dollars)を評価額46.5億ドル(4.65 billion dollars)で調達したと報じています。出資者にはGV、Nvidia、AMD Venturesが挙がっています。同記事はSocher氏をSalesforceの元チーフサイエンティストと紹介しています。

速度の公称値

公式ブログの速度は2つです。M4 Pro搭載のMacBook Proで「125 tokens per second」超、「64GB NVIDIA RTX Spark」で150 tokens per second超で、いずれも短い文脈での値です。なお公式ブログの速度グラフは、128kトークンのセッション全体の平均(プリフィル(プロンプト処理)は除外)で示されています(Recursive 2026-10-21)。

公式ブログのNVIDIA機の表記は「64GB NVIDIA RTX Spark」で、本文にDGX Sparkという語は出てきません(Recursive 2026-10-21)。本サイトで運用しているDGX Spark(GB10・統合メモリ128GB)とは別の製品です。DGX Sparkでの速度は、公式資料からは確認できません。


4. MoEの構成はメモリと速度にどう効くか

メモリは「総パラメータ」で決まる

MoEでも、速く動かすには全専門家の重みをメモリに常駐させるのが基本です(CPUやディスクへ一部を逃がす方法もありますが、速度は落ちます)。そのため必要量は活性2.5Bではなく総39.8Bで決まります。39.8Bを1パラメータ4ビットで持つと約19.9GBです。実際のGGUFは層ごとに精度を混ぜるため、これより大きくなります。

Unslothのガイドと同社のHugging Faceリポジトリ(unsloth/flint-GGUF)が示すファイルサイズと必要メモリの目安(RAM+VRAM、または統合メモリ)は次のとおりです(Unsloth docs: Flint、unsloth/flint-GGUF)。

量子化ファイル必要メモリの目安(Unsloth)
2bit(UD-IQ2_XXS / UD-Q2_K_XL)11.9GB / 13.6GB13〜15GB
3bit(UD-Q3_K_XL)18.5GB16〜20GB
4bit(UD-Q4_K_XL)25.05GB26GB
6bit(UD-Q6_K_XL)36.3GB38GB
8bit(Q8_0)42.3GB44GB
BF1679.6GB—

公式recが使うINT4重み(RecursiveSI/flint-int4)のサイズは、recの配布manifestで確認できます。重み5シャードの合計は22,568,912,600バイトで、約22.57GB(21.0GiB)です。manifestにはmax_context 262,144とmin_ram_bytes 51,539,607,552(48GiB)も書かれています(recursive-oss/rec packaging/flint-int4-mlx.json)。Unslothの4bit GGUF(25.05GB)とは形式も量子化方法も異なる別の配布物なので、recのメモリ要件を考えるときは混ぜないでください。公式ドキュメントにある空き容量約30GBは、モデルとランタイムを合わせた数字です(docs.recursive.com /edge/rec)。

重みとKVキャッシュの容量を試算する

「48GB」は公式ドキュメントで確認できました。recの要件は「At least 48 GB unified memory」で、M4 Pro / M5 Pro / M5 Max以外のチップや48GB未満のMacではモデルをダウンロードしません(docs.recursive.com /edge/rec)。

なぜ約22.6GBの重みに48GBを求めるのかは、公式には説明がありません。手がかりとして、config.jsonからKVキャッシュの大きさを試算しました。これは筆者の計算で、KVをBF16で持つ前提です。

  • 全文脈注意の14層は、1トークンごとにKとVを積み上げます。1トークンあたり14層×2×4ヘッド×128次元×2バイトで28,672バイトです
  • 262,144トークンまで埋めると約7.5GBになります。128kなら約3.8GBです
  • スライディングウィンドウの35層は513トークン分しか保持しないため、合計でも数十MBにとどまります

公式INT4の約22.6GB(Unslothの4bitなら約25GB)に、最大文脈のKV約7.5GBと作業領域・OS・エディタ・ランタイムの分を足すと、32GB機では余裕がなくなります。これは条件付きの試算で、48GBという線引きの理由を公式資料が説明しているわけではありません。長い文脈で常用する前提なら筋が通る、というのが筆者の解釈です。

速度には「活性パラメータ」が効く

1トークンを出すたびに読み出す重みは、選ばれた6専門家と共有専門家、注意層などの約2.5Bだけです。トークン生成はメモリ帯域に縛られるため、同じ容量の密なモデルより速く出しやすくなります。ただし速度は活性量だけでは決まらず、量子化の形式、メモリ帯域、カーネル、文脈長も効きます。公式ブログも、パラメータ25〜40Bの密なモデルより「more than five times faster」と書いています。

ただし、プリフィルは別です。公称値はプリフィルを除いた生成速度なので、大きなリポジトリを読み込ませた最初の待ち時間は含まれません。


5. 512kと262,144、どちらが使える文脈長か

数字が2つある理由は、公式資料では説明されていません。各資料の記載は次のとおりです。

  • 公式ブログ: 「up to 512k tokens」に対応し、「256k tokens」以内を推奨
  • モデルカードとconfig.json: 262,144トークン(プロンプトと出力の合計)
  • 公式ドキュメント(/models/flint): ホスト型の構成は262,144トークン、出力は最大65,536トークン。この値は「ローカルでのメモリを保証するものではない」とも書かれています
  • Unslothのガイド: 最大262,144トークン(256K)

配布されている重みの設定値、現在のrec(manifestのmax_context)、ホスト型の構成はいずれも262,144です(recursive-oss/rec manifest)。公式ブログの推奨「256k以内」も、この値(256×1,024)と一致します。512kについては、その条件や設定手順、設定値との差の説明は今回確認した資料に見当たりませんでした。モデルの絶対的な上限がどちらかは確定できないため、まず利用するランタイムの上限(262,144)に従うのが確実です。

モデルカードは、この値は容量の上限であって、どの長さでも同じ精度を保証するものではないと注記しています。手元の機材では、メモリに合わせてさらに短くすることになります。Unslothのガイドの実行例(4bit版)は--ctx-size 8192です(Unsloth docs: Flint)。


6. ベンチマークは誰が測ったか

モデルカードの3つの数字は「In our release evaluations」とされ、Recursive自身の測定です。条件は次のとおりです(Hugging Face RecursiveSI/flint、Recursive 2026-10-21)。

ベンチマークFlint(BF16、開発元による測定)ハーネスと条件
Terminal-Bench 2.154.9%Terminus 2、Web検索で得た解は失敗扱い
SWE-bench Pro v289.7%mini-swe-agent
SWE-bench Verified74.2%mini-swe-agent

いずれも温度1.0、top-p 0.95、top-k 20で、5回以上の試行のpass@1平均です。Unslothのガイドには4bit版(NVFP4)の値も載っていて、Terminal-Bench 2.1は53.7%です。公式ブログは、NVFP4版が16bit版と比べて「0.7ポイント以内」に収まると書いています。一方、Unslothが掲載する表の個別項目では、Terminal-Bench 2.1が54.9→53.7、SWE-bench Pro v2が89.7→88.5と1.2ポイントの差があります。0.7という値の集計方法(平均なのか最大なのか)は確認できませんでした。

この数字を読むときの注意点は3つあります。

  1. 比較表の他社スコアは各社の自己申告: カードの注記では、†付きがRecursiveの測定で、それ以外の比較スコアは各開発元が報告した値です
  2. Terminal-Benchの数え方が揃っていない: Flintは検索で得た解を失敗に数えますが、他社のスコアが同じ調整をしているとは限らない、とカード自身が書いています
  3. 第三者の再現は未確認: 2026-10-22時点で、本稿で確認した範囲(TechCrunch等)では、独立した第三者による再測定は見当たりませんでした(TechCrunch 2026-10-21)。なおSWE-bench Pro v2の89.7%がVerifiedの74.2%を上回っている理由は、資料では説明されていません

報道ではTechCrunchが、6種のベンチマーク平均でFlintを上回ったのはAlibabaの「Qwen3.8 27B」だけだったと伝えています。同記事は、M4 Pro MacBook Proで約131 tok/s、Gemma 4やNemotron 3.5 Lightningは58〜69 tok/sだったとも書いています。どちらもRecursiveの資料に基づく報道で、独立した測定ではありません。


7. 「大部分をAIが作った」Eureka Machineの範囲

公式ブログの表現は「Our Eureka Machine helped develop nearly every part of Flint’s model-building stack」です。範囲は「データと学習レシピからインフラと推論の最適化まで」とされています。Eureka Machineは、アイデアの提案・実装・検証という研究ループを自動で回すシステムだと説明されています。

公式ブログに具体例として挙がっているのは次の作業です。

工程Eureka Machineがしたこと(公式ブログの記述)
アーキテクチャ総35B・活性3Bの基準から専門家の数と幅を探索し、速度とコーディング性能の組み合わせが最もよいと予測された構成に到達
量子化量子化レシピを探索。通常は避ける出力層(lm_head)まで4ビット化
学習の効率化オフライン蒸留の段を追加し、量子化を考慮した学習の基準と比べて学習ステップをほぼ半分に削減
カーネル低ビット射影、MoE演算、注意、プロンプト処理向けの専用カーネルを生成

人間側の役割は、公式ブログでは「Our small team of people and agents built it from scratch in under four months」としか書かれていません。誰が何を決め、どこで止めたのかは示されていません。TechCrunchは、Eureka Machineを「人間が監督するAI研究アシスタント」と表現しています。そのうえで、研究者の時間をどれだけ節約したかはRecursiveが明らかにしていないと指摘しています。

「大部分をAIが作った」は、Eureka Machineが探索と実装の多くを担ったという意味です。開発全体を人間抜きで回したとまでは、一次資料には書かれていません。


8. 日本の読者への影響

手元の機材で動くか

機材一次資料から言えること
Mac(M4 Pro / M5 Pro / M5 Max、48GB以上)公式recの対象です。rec launch piやrec launch opencodeでエージェントから使えます。recは1セッション専用で、同時リクエストにはHTTP 429を返すことがあります
Mac(上記以外のチップ、または48GB未満)recは使えません。公式ドキュメントが案内するOllama用パッケージflint:40b-a2b-qat-int4(ollama run flint:40b-a2b-qat-int4。メモリ要件の記載はありません)か、llama.cpp等でUnslothのGGUFを使います(Recursive docs: Ollama)
24GBのGPUまたはメモリUnslothは3bit(18.5GB)を「24GB RAM」の短い文脈向けとしています
32GB4bit(26GB目安)は載りますが、長い文脈を取る余裕は小さくなります
DGX Spark(128GB)BF16の79.6GBもサイズの上では収まります。ただし公式SGLangキットの対象はB300 / H200で、recのRTX Spark対応も「coming soon」です。DGX Sparkでの速度の公称値はありません

Unslothのガイドは、llama.cppの「Flint対応の最新版」を使うよう書いています。ところがビルド例はUnsloth側のフォーク(iq1-narrowブランチ)を指しています。公式llama.cppにいつ取り込まれたかは、今回の資料では確認できませんでした。モデルカードには「Transformers modeling code is not included yet」とあり、Transformersでそのまま読み込むことはまだできません。

# rec (Apple Silicon, M4 Pro / M5 Pro / M5 Max, 48 GB+)。前提条件は公式ドキュメント /edge/rec を先に確認
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/recursive-oss/rec/main/install.sh | bash
# インストーラーはシェル設定を書き換えるが、今開いているターミナルには反映されない。
# 新しいターミナルを開くか、PATH を通してから続ける
export PATH="$HOME/.local/bin:$PATH"
rec doctor
rec launch opencode

この手順の実機インストール試験は行っていません。

日本語対応と提供状況

確認した範囲では、公式ブログ、モデルカード、ドキュメントに日本語や多言語対応の記述は見当たりません(Hugging Face RecursiveSI/flint)。学習データの説明も「テキストとコード、指示追従、エージェントタスク」までです。日本での提供についても、2026-10-22時点の公式資料は触れていません。規約上の利用禁止地域はキューバ、イラン、北朝鮮、シリア、クリミアなどの包括制裁対象で、日本は含まれていません。

料金と、ホスト型APIの規約

重みは無料です。ホスト型について、ドキュメントはOpenCodeの無料枠での利用を案内しています。無料枠は空き容量とレート制限の範囲内です(Recursive docs: Coding agents)。規約はアルファ版モデルを「書面で別途合意しない限り」無料としていますが、SLAはなく、責任上限は100米ドルです(Recursive Model Terms)。

業務で注意すべきなのはデータの扱いです。規約5.3は「Training is a condition of use」と題し、ホスト型APIの入力と出力の学習利用を認めることを利用条件にしています。オプトインはなく、5.6に定める場合を除きオプトアウトもありません。ただし規約は複数の箇所で書面による別途合意の例外を置いており、契約次第で条件は変わります。5.2(c)と5.4により、学習結果は公開重みに入り得て、公開後は重みから情報を取り除けないとされています。第三者プラットフォーム経由については、同ページの別文書「Model Data & Privacy Practices」に説明があります。プラットフォームの設定が許す場合に学習に使う一方で、プラットフォームから伝えられる制御や信号(学習拒否の設定など)は尊重する、という内容です。規約第15条は、第三者ツール経由の内容を顧客データとして扱うとしています(Recursive Model Terms)。

一方、配布された重みは規約ではなくApache 2.0だけに従います。ホスト型を業務で使うなら、利用経路・学習設定・保持条件・契約を確認してから判断してください。社内のコードを外部に送ること自体を避けたいなら、自社で管理する環境で重みを動かすのが選択肢です。


9. 背景と競合

TechCrunchによると、Recursiveは2026年5月にステルスから姿を現しました。AWSとは4.1億ドルの複数年契約を結んでおり、AWSの公式発表は2026年7月28日付です(AWS press release 2026-07-28)。TechCrunchは同社を2025年創業と報じており(設立年は報道による情報です)、Flintはステルス脱却から約5か月で出た最初のモデルです(TechCrunch 2026-10-21)。公式ブログによれば、開発期間は4か月未満でした。

同じ「手元で動く中型のオープンウェイト」では、本サイトで扱ったQwen3.8-27BやMeta Muse Glimmer 30Bが近い位置にあります。Flintの差別化点は、活性2.5Bという小ささによる生成速度と、Mac向けの専用エンジンrecを同時に出したことです。公式ブログ自身は、大きなクローズドのコーディングモデルより「more guidance」が必要になる場合があると書いています。


10. 限界と未確定の点

  • ベンチマーク: 開発元の測定のみです。他社モデルとの比較表は画像で、条件の揃い方は注記で一部が揃っていないとされています
  • 文脈長: 512kの条件や設定手順は確認できていません。配布設定・rec・ホスト型はいずれも262,144です
  • 速度: 公称値はプリフィルを除いた平均です。公式ブログ本文のNVIDIA機は「64GB NVIDIA RTX Spark」で、DGX Sparkの値ではありません
  • ランタイム: Transformers用コードは未同梱です。llama.cppはフォークのビルド手順が案内されています。recのNVIDIA対応は未提供です
  • 日本語: 対応の記述がなく、品質は未確認です
  • 人間の役割: Eureka Machineと人間の分担は具体的に示されていません

11. よくある質問

Flintは日本語で指示しても使えますか

公式資料に日本語対応の記述はありません。語彙は150,144トークンですが、日本語の評価結果は公表されていないため、使う前に自分のタスクで試す必要があります。

16GBのMacやGPUで動きますか

2bitのGGUF(11.9〜13.6GB)ならファイルとしては載ります。Unslothの目安は13〜15GBです。ただし公式ベンチマークはBF16とNVFP4の値で、2bit版で上記のコーディングベンチを測った結果は今回確認した資料にはありません。

OpenRouterで試すと入力は学習されますか

Recursiveの別文書「Model Data & Privacy Practices」では、第三者プラットフォーム経由の入出力はそのプラットフォームの設定が許す場合に学習に使われます。プラットフォームから伝えられる学習拒否などの設定は尊重するとされています(Recursive Model Terms)。直接APIでは学習利用を認めることが利用条件です。OpenRouter側のデータ設定(学習の許可と保持条件)を確認してから使ってください。学習拒否の設定はログの保持と同じ意味ではありません。

株式会社Recursive(日本)とは関係がありますか

Flintの発表元は、recursive.comを運営し、Hugging FaceでRecursiveSIを名乗るRecursive Superintelligence, Inc.です。日本の株式会社Recursive(recursiveai.co.jp)は、法人名もドメインも異なります。Flintの公式資料に日本の同名企業への言及はありません。


12. 関連記事


13. まとめ

  • Flintは、Recursiveが2026年10月21日にApache 2.0で公開した総39.8B・活性約2.5BのコーディングMoEです
  • 公式recの条件は48GB以上のM4 Pro / M5 Pro / M5 Max搭載Macで、rec用の公式INT4重みは約22.6GBです。それ以外では公式のOllama用パッケージか、Unslothの4bit(約25GB)・3bit(18.5GB)を使います
  • 文脈長は配布設定・rec・ホスト型のいずれも262,144トークンで、512kの条件や設定手順は示されていません
  • ベンチマークは開発元の測定で、150 tok/sの公称値はDGX SparkではなくRTX Spark(64GB)のものです
  • ホスト型APIは学習利用を認めることが利用条件で、別途合意や第三者経由の設定で条件が変わります。外部送信そのものを避けたいなら、自社管理の環境で重みを動かすのが選択肢です