この記事でわかること
- 迷ったらComfyUIを選んでください。3つのUIのうち、2026年10月17日時点で直近1か月以内のリリースがあるのはComfyUIだけでした(2026年10月19日に再確認)。Windows・Linux・macOSの導入案内はA1111にも公式Wikiにありますが、更新が続いているかどうかで差が出ます
- AUTOMATIC1111はWindowsでPython 3.10.6を指定しており、最新リリースは2025年2月のv1.10.1です。Forgeは動作状況表の最終テストが2024年9月で止まっています
- ComfyUIはWindowsならデスクトップアプリかportable版、Linux(aarch64を含む)なら手動インストールで入ります。モデルは
models/checkpointsに置きます - 起動しない・モデルが見えない・GPUを認識しない・メモリが足りないときに、表示された文言から対処を引けます。A1111の新規導入で依存先の取得に失敗する既知の問題も扱います
- ソフトは無料です。かかるのは機材と電気代で、モデルごとのライセンスは別に確認が要ります
結論を先に書くと、ローカル環境は「UIを1つ選ぶ → そのUIが指定するPythonとPyTorchを用意する → モデルを所定のフォルダに置く → ブラウザで生成する」の4段です。2段目は手動インストールの場合で、ComfyUIのデスクトップアプリとportable版では環境の準備が自動化・同梱されています。典型的なつまずきどころとして、UIごとに違うPythonの版の取り違えと、モデルの置き場所の間違い、GPUの認識失敗があります。
1. この記事の検証範囲と、一次資料の対応表
最初に、この記事で確かめたことと確かめていないことを分けます。
- 確かめたこと: 3つのUIの公式README・公式docs、PyTorch公式のwheel配布一覧、SDXLのモデルカードを2026年10月17日に開いて照合しました。2026年10月19日に外部のファクトチェックを受け、ComfyUIの最新版、A1111の既知の導入障害、ComfyUIのPartner Nodes、DGX Sparkの既知問題の確認先を追記しました(「2026-10-19確認」はその日の確認です)
- 確かめていないこと: ComfyUI本体をこの記事のために実機で動かした計測はありません。生成時間やメモリ使用量の実測表は置きません。Windows + 単体GPUの機材も手元に無く、その環境の手順は公式docsに従って書いています
- 参考にした手元の記録: 同じDGX Spark(GB10・統合メモリ128GB・aarch64、カーネル
6.14.0-1015-nvidia)で、2026年7月18日にPyTorch系の動画生成ツールを導入した記録があります(DGX SparkでLTX-2.3を動かした手順)。aarch64でPyTorchのCUDA版が入るか、という点はこの記録で補います
| 主張 | 一次資料 | 種別 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| ComfyUIの推奨はPython 3.13、カスタムノードが動かなければ3.12 | GitHub ComfyUI README | GitHub | 2026-10-17 |
| ComfyUIのNVIDIA向けPyTorchはcu130のindexから入れる | ComfyUI公式docs 手動インストール | 公式docs | 2026-10-17 |
ComfyUIの既定の待ち受けは 127.0.0.1:8188 | ComfyUI cli_args.py | GitHub | 2026-10-17 |
| A1111はWindowsでPython 3.10.6を指定 | GitHub AUTOMATIC1111 README | GitHub | 2026-10-17 |
| A1111の最新リリースはv1.10.1(2025-02-09公開) | GitHub Releases API | GitHub | 2026-10-17 |
| Forgeの推奨パッケージはCUDA 12.1 + PyTorch 2.3.1 | GitHub Forge README | GitHub | 2026-10-17 |
| PyTorchのcu130版にはLinux aarch64のwheelがある | download.pytorch.org/whl/cu130/torch | 公式配布 | 2026-10-17 |
| SDXL base 1.0はCreativeML Open RAIL++-M、本体ファイル6.94GB | Hugging Face stabilityai/stable-diffusion-xl-base-1.0 | 公式モデルカード | 2026-10-17 |
2. Stable Diffusionのローカル環境とは
Stable Diffusionの重み(モデルファイル)を自分のPCに置き、自分のGPUで画像を生成する使い方です。Webサービスとの違いは、生成の処理が手元で完結する点にあります。
ローカルにする利点は3つあります。
- プロンプトと生成画像が外部サーバーに送られない: この記事のようにSDXLのモデルとローカルのノードだけで生成する限り、推論は手元のGPUで完結します。何が外に出ないかの考え方はローカルLLMの仕組みの記事と同じです。ただしモデルのダウンロードやUIの更新では通信が発生します。また、ComfyUIのPartner Nodes(外部APIのモデルを呼ぶノード)は入力(プロンプト・画像など)を外部プロバイダーへ送ります。UIをローカルで起動しただけでは保証されない点です(ComfyUI公式docs Partner Nodes、2026-10-19確認)
- 枚数の上限や従量課金が無い: サービス側の回数枠はありません。制約になるのは自分のGPUの速度とメモリ、保存先の容量です。ただしPartner Nodesはローカル版でもクレジット(有料)を消費します。無料なのはローカルのモデルとノードで生成する処理です
- モデルと設定を自分で選べる: SDXL、SD 1.5、派生モデルを差し替えられます
3. ローカルでできること・できないこと
できることは、テキストから画像を作る生成、手元の画像を元にした生成、モデルの差し替えです。ComfyUIはノードを線でつなぐ方式で、処理の流れをワークフローとして保存できます。
できないこと、または前提が要ることもあります。
- GPUが無いと速度は大きく落ちます: ComfyUIには
--cpuオプションがありますが、ソース上の説明は「To use the CPU for everything (slow).」です。どこまで実用になるかはモデル・解像度・用途次第で、この記事では実測していません(cli_args.py、2026-10-17確認) - モデルの限界はローカルでも同じです: SDXLのモデルカードは、読める文字を描けない、構図の指定に弱い、顔や人物が正しく出ないことがある、と限界を挙げています(Hugging Face、2026-10-17確認)
- 保守は自分の仕事になります: 更新・依存関係の破損・ディスク容量は自分で面倒を見ます
4. UIの選び方──3つの入口を一次資料で比べる
対応表の中身は、各UIの公式READMEと公式docsだけから埋めました(2026-10-17確認)。
| 項目 | ComfyUI | AUTOMATIC1111 | Forge |
|---|---|---|---|
| 配布形態 | デスクトップアプリ(Windows/macOS。公式docsにはLinux向け.deb/AppImageもある)、Windows portable、手動インストール、comfy-cli | WindowsはPython+Gitを入れて webui-user.bat、Linuxは webui.sh、Windows向けリリースパッケージv1.0.0-pre。Apple Silicon向けは公式Wiki | ワンクリックパッケージ(gitとpython同梱)を展開し update.bat → run.bat |
| Python | 3.13推奨、3.12が代替。3.14も動くが一部カスタムノードに問題 | Windowsは3.10.6。READMEの注記は「Newer version of Python does not support torch」(A1111に限った記述)。Linuxで新しい系なら3.11か3.10 | パッケージに同梱 |
| PyTorch/CUDA | NVIDIAはcu130のindex。20シリーズ以降はcu130以上が必要 | 起動スクリプトが入れる(READMEに版の指定なし) | 推奨はCUDA 12.1 + PyTorch 2.3.1。CUDA 12.4 + PyTorch 2.4版は「MSVC may be broken」と注記 |
| Linux | 手動インストールで対応 | 対応(webui.sh) | READMEの手順はWindowsのbatのみ |
| 保守の手がかり | 最新リリースv0.42.1(2026-10-19 10:33 JST公開。10月17日の確認時はv0.41.0、2026-10-16 JST公開)、週次リリースの方針 | 最新リリースv1.10.1(2025-02-09公開。タグ自体は2024-07作成) | SD-WebUI 1.10.1ベース、「under some constructions」と明記。動作状況表の最終テストは2024年9月9日(表の更新が止まった日で、以後テストが無いという意味ではない)。既定ブランチの最新コミットは2025-06-26(UTC) |
| ライセンス | GPL-3.0 | AGPL-3.0 | AGPL-3.0 |
リリース日はGitHub APIの published_at(ComfyUI・A1111)、Forgeの最新コミット日はGitHub APIのコミット一覧から取りました。APIの値はUTCで、本文ではComfyUIだけJSTに直しています。
この表から読み取れる選び方は次のとおりです。
- 初めて入れる人、Linuxの人: ComfyUI。更新が続いており、Pythonの版も新しい系で揃います。OS対応だけならA1111にもWindows・Linux・Apple Siliconの公式案内があるので、決め手は更新状況です
- 既存のA1111向け拡張機能や手順書を使いたい人: A1111。ただしPython 3.10.6を別に用意する必要があり、新しいPythonだけが入ったPCでは引っかかります。2025年12月以降は新規導入時に依存先の取得で止まる既知の問題もあります(第5章の補足)
- Forge: Windowsで解凍してすぐ動かす手軽さはあります。ただし動作確認の記録は2024年で止まっており、新しいGPUやPyTorchとの組み合わせは表からは保証されません
5. 環境構築(番号付き手順)
第1章 Windows: ComfyUIデスクトップアプリかportable版
公式docsが示す動作条件は、Windows 10以降、x64またはARM64です。専用GPUは「recommended for good performance, but not required」とされ、NVIDIAとAMDが挙がっています。ディスクは1インストールあたり4.85GB以上が推奨です(ComfyUI公式docs Windows Desktop、2026-10-17確認)。
デスクトップアプリの場合
- comfy.org/download からインストーラ(
.exe)を取得します - インストーラを実行し、表示に従って進めます
- スタートメニューかデスクトップのショートカットからComfy Desktopを起動します
- 初回起動時に、Comfy Cloudで動かすかローカルに入れるかを聞かれます。ローカルを選びます
モデルとinput/outputの共有フォルダは %LOCALAPPDATA%\Comfy-Desktop\ComfyUI-Shared です(導入時期によっては %USERPROFILE%\ComfyUI-Shared の場合もあると公式docsにあります)。実際にどこを見ているかは、アプリの設定画面でモデルの保存先を開いて確かめてください。
portable版の場合
GPUに合わせて配布ファイルを選びます(ComfyUI公式docs Portable、2026-10-17確認)。
| GPU | ファイル | 同梱環境 |
|---|---|---|
| NVIDIA RTXシリーズ | ComfyUI_windows_portable_nvidia.7z | CUDA 13.0 / Python 3.13 |
| NVIDIA 10シリーズ以前 | ComfyUI_windows_portable_nvidia_cu126.7z | CUDA 12.6 / Python 3.12 |
| NVIDIA(Windows ARM64) | ComfyUI_windows_portable_nvidia_arm64.7z | Python 3.14 |
| AMD | ComfyUI_windows_portable_amd.7z | ROCm |
| Intel | ComfyUI_windows_portable_intel.7z | ─ |
- 7-Zipで展開します
- NVIDIAなら
run_nvidia_gpu.batを実行します(GPUが無ければrun_cpu.bat) - コンソールに次の行が出れば起動成功です
To see the GUI go to: http://127.0.0.1:8188
ブラウザが自動で開かなければ、このURLを手で開きます。コンソールの窓を閉じるとComfyUIも止まります。
第2章 Linux + 対応NVIDIA GPU(aarch64を含む): 手動インストール
ComfyUIのREADMEのGet Started欄ではデスクトップアプリはWindows/macOS向けと案内されていますが、公式docsにはLinux版(.deb/AppImage)の手順もあります(Comfy Docs 2026-10-17)。portable版はWindows専用です。ここでは手動インストールで入れます。公式docsはMiniconda(conda)の環境を例にしていますが、ここではPython標準のvenvで書きます。docsにはLinux aarch64への言及がありません(2026-10-17確認)。
前提として、Git、推奨版のPython(3.13。代替3.12)とvenvモジュール、モデル取得に使う wget、CUDA 13系に対応したNVIDIAドライバーが入っていることが必要です。aarch64というCPUの種類だけではGPUでの動作は決まりません。ドライバーとCUDAの対応はNVIDIAのCUDA Compatibilityで確認してください。
- 推奨版のPythonが入っているか確認します。ComfyUIの推奨は3.13、代替が3.12です。venvは呼び出したPythonをそのまま使い、別の版を取ってくる機能はないので、実行ファイル名で版を指定します
python3.13 --version
- 作業ディレクトリを作り、venvを有効にします(3.12を使うなら
python3.12に読み替えます)
mkdir -p ~/sd && cd ~/sd
python3.13 -m venv venv
source venv/bin/activate
python --version
- ComfyUIを取得します(公式docsのURL)
git clone https://github.com/Comfy-Org/ComfyUI.git
cd ComfyUI
- NVIDIA向けPyTorchを入れます。コマンドは公式docsのとおりです
pip install torch torchvision torchaudio --extra-index-url https://download.pytorch.org/whl/cu130
aarch64について補足します。PyTorch公式の配布一覧には、2.12.0から2.14.1までの +cu130 版に manylinux_2_28_aarch64 のwheelがあり、cp312とcp313の両方が揃っています(2026-10-17確認)。同じDGX Sparkでは2026年7月18日に、torch 2.13.0のcu13系wheelがソースビルドなしで入った記録があります(別ツールの導入時の記録です)。
- 依存パッケージを入れます
pip install -r requirements.txt
- PyTorchがCUDA対応ビルドか、そしてGPUをいま使えるかを別々に確認します
python -c "import torch; print('torch:', torch.__version__); print('CUDA build:', torch.version.cuda); print('built with CUDA:', torch.backends.cuda.is_built()); print('CUDA available:', torch.cuda.is_available())"
nvidia-smi
成功していれば、版の末尾に +cu130 が付き、built with CUDA と CUDA available がどちらも True になります。CUDA available が False なのは「このPython環境からいまCUDAを使えない」という意味で、CPU版PyTorchのほかに、NVIDIAドライバー、GPUの認識、実行環境の設定も原因になります。built with CUDA が True なのに CUDA available が False なら、入れ直す前に nvidia-smi でドライバーとGPUの状態を切り分けてください。後述の対処表も見てください。
- 起動します
python main.py
既定では 127.0.0.1 の8188番で待ち受けます。ブラウザで http://127.0.0.1:8188 を開きます。この端末はComfyUIが動いている間は開いたままにし、次章のモデル取得は別の端末で行います。
第3章 モデルの入手と配置
公式docsの「最初の生成」ページが推奨しているのはSD 1.5系の v1-5-pruned-emaonly-fp16.safetensors です(ComfyUI公式docs、2026-10-17確認)。この記事ではSDXL base 1.0を使います。
- Hugging Faceのstabilityai/stable-diffusion-xl-base-1.0から
sd_xl_base_1.0.safetensors(6.94GB)を取得します。同じ場所にあるsd_xl_base_1.0_0.9vae.safetensorsも同サイズですが、最初の1枚には通常版の1本で足ります。別の端末を開いて実行します
cd ~/sd/ComfyUI/models/checkpoints
wget https://huggingface.co/stabilityai/stable-diffusion-xl-base-1.0/resolve/main/sd_xl_base_1.0.safetensors
- 置き場所はUIの種類で次のように変わります
| 導入方法 | 置き場所 |
|---|---|
| 手動インストール | ComfyUI/models/checkpoints |
| portable | ComfyUI_windows_portable/ComfyUI/models/checkpoints |
| デスクトップアプリ | 共有フォルダ(%LOCALAPPDATA%\Comfy-Desktop\ComfyUI-Shared)配下の models/checkpoints。実際の保存先はアプリの設定画面で確認する |
VAEを別に使うときは models/vae に置きます。モデルを別のドライブに置きたいときは、手動インストールとportable版ではComfyUIのルートにある extra_model_paths.yaml.example を extra_model_paths.yaml にコピーして編集し、再起動します。デスクトップアプリは共有フォルダの仕組みが別にあるので、アプリの設定画面からモデルの保存先を確認・追加してください。
補足: AUTOMATIC1111を選ぶ場合の違い
READMEの手順は次の4つです(2026-10-17確認)。
- Python 3.10.6を入れ、インストーラで「Add Python to PATH」にチェックを入れます
- Gitを入れます
- リポジトリを取得します
git clone https://github.com/AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui.git
- エクスプローラーから
webui-user.batを、管理者ではない通常ユーザーで実行します
READMEの4手順だけでは、現在は新規導入が止まることがあります。A1111が起動時に取得する依存先 Stability-AI/stablediffusion のリポジトリが取得できなくなっており(2026-10-19に404を確認)、新規導入では repositories/stable-diffusion-stability-ai の取得で「Repository not found」(終了コード128)になります。既に導入済みの環境は影響を受けません。公式の対処はA1111公式Discussion #17212(リポジトリのコラボレーターw-e-wが2025年12月20日に投稿、A1111公式Wiki Troubleshootingからも案内)にあり、第1の対処は dev ブランチへ切り替えること(git switch dev の後 git pull)、もう1つは依存先をメンテナーが案内するフォークに変える環境変数の設定です。Windowsでは webui-user.bat の call webui.bat より前に次の行を足します。
set STABLE_DIFFUSION_REPO=https://github.com/w-e-w/stablediffusion.git
Linux/Macでは webui-user.sh に export STABLE_DIFFUSION_REPO="https://github.com/w-e-w/stablediffusion.git" を書きます。それでも止まる場合は repositories/stable-diffusion-stability-ai フォルダを消してやり直す、と同じ投稿にあります。
ComfyUI用に3.13を入れたPCでは、Pythonが2つ並ぶことになります。PATHの順番に頼るより、webui-user.bat の set PYTHON= にPython 3.10の実行ファイルの絶対パスを書く方が確実です(この行は配布されている webui-user.bat に空のまま用意されています)。
6. 最初の1枚を出す
ComfyUIは起動すると、通常はテキストから画像を作る既定のワークフローを読み込みます(公式docsの表現は「usually」)。表示されない場合は、公式docsの「最初の生成」ページにある既定ワークフローを読み込んでから進めます。
- Rキーを押してモデル一覧を更新します
- Load Checkpointノードで
sd_xl_base_1.0.safetensorsを選びます - プロンプト欄に英語で内容を書きます。例:
a red bicycle leaning on a brick wall, morning light - 解像度を1024×1024にします。ComfyUI公式のSDXL例は「1024x1024 or other resolutions with the same amount of pixels」と書いています(ComfyUI Examples SDXL、2026-10-17確認)。既定ワークフローの値がこれより小さい場合は書き換えます
- Runを押すか、Ctrl + Enterで実行します
- Save Imageノードに画像が出たら完了です。右クリックで保存できます
7. つまずいた箇所と対処(エラーメッセージ別)
この記事のためのComfyUI実機ログはありません。そのため、文言の出所を行ごとに示します。公式docs・READMEに書かれた症状と、同じDGX Sparkで別ツールを導入したとき(2026-07-18)に実際に出たメッセージです。
| 症状(文言) | 出所 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|---|
| Load Checkpointが空、または「null」 | ComfyUI公式docs | モデルが認識されていない(置き場所違い・未導入・拡張子違いなど) | models/checkpoints にあるか確認し、Rキーで更新、または再起動 |
| 起動時に「INCOMPATIBLE PYTHON VERSION」(READMEの注記は「Newer version of Python does not support torch」) | A1111 起動コード(modules/launch_utils.py)・README | A1111に3.10.6より新しいPythonを使った | 3.10を用意し、webui-user.bat の set PYTHON= で実行ファイルを指定する |
repositories/stable-diffusion-stability-ai の取得で「Repository not found」(終了コード128) | A1111公式Discussion #17212 | 依存先 Stability-AI/stablediffusion が取得できない(新規導入のみ) | dev ブランチへ切り替える、または STABLE_DIFFUSION_REPO でフォークを指定する(第5章の補足) |
torch.cuda.is_available() が False | 第2章の確認手順 | この環境からいまCUDAを使えない。CPU版PyTorch、ドライバー、GPU未認識、実行環境の設定のいずれか | torch.backends.cuda.is_built() と nvidia-smi で切り分ける。CPU版ならvenvを作り直し、cu130のindexを指定して入れ直す。ビルドがCUDA対応ならドライバー側を見る |
NVRM: ... Out of memory [NV_ERR_NO_MEMORY] の後にシステム停止 | 筆者のDGX Spark記録(別ツール、2026-07-18) | 未特定。ページキャッシュが膨らみMemFreeが減った状態で観測したが、切り分けはできていない | 生成は同時1本に限り、MemFreeを監視してページキャッシュを追い出す(切り分け・補助策)。PYTORCH_CUDA_ALLOC_CONF=expandable_segments:True は断片化緩和の補助。NVIDIAの既知問題とソフトウェア更新も確認する |
「null」とLoad Checkpointに出る
公式docsの対処は、モデルの置き場所を確かめてから、更新または再起動することです。モデルをまだ置いていない、拡張子が .safetensors のまま保存されていない、という場合も同じ表示になります。ダウンロードが途中で止まっていないかは、ファイルサイズで確かめます。通常版の正確な容量は6,938,078,334バイトで、配布サイトの表示では6.94GB、GiB表示のOSでは約6.46GiBと見えます。桁の違いを未完了と取り違えないでください。配布ページに載っているSHA-256と照合するのが確実です。
「INCOMPATIBLE PYTHON VERSION」とA1111が表示する
「Newer version of Python does not support torch」はREADMEの注記で、実際に起動時に表示されるのは起動コード(modules/launch_utils.py)の「INCOMPATIBLE PYTHON VERSION / This program is tested with 3.10.6 Python, but you have …」という警告です(2026-10-19確認)。ComfyUIとA1111を同じPCに入れると起きやすくなります。A1111側だけ3.10を使うよう、webui-user.bat の set PYTHON= に3.10の実行ファイルの絶対パスを書きます。PATHの順番を変えるより確実です。
10シリーズ以前のNVIDIA GPUで動かない
ComfyUIのREADMEは、20シリーズ以降にはcu130以上が必要だと書いています。Windowsのportable版では、10シリーズ以前向けにCUDA 12.6・Python 3.12の別パッケージ(_cu126)が用意されています。
「NVRM: … Out of memory」のあとシステムごと止まる
以下は、2026年7月18日に筆者のDGX Sparkで別の動画生成ツールを動かした際の観測で、ComfyUIで同じ問題が起きるかは未検証です。MemAvailableが83GBあっても、MemFreeが2.2GBまで落ちた状態で確保に失敗し、システム全体が固まりました。原因は特定できていません。DGX Sparkのメモリ管理についてはNVIDIA DGX Spark Known IssuesとDGX Spark Release Notesで、当時のドライバーとの差を含めて確認してください。手元では生成を同時1本に限り、MemFreeを監視してページキャッシュを追い出す運用にしています。これは切り分けと補助の策で、停止を防ぐ確実な方法ではありません。PyTorch側では、断片化を減らす環境変数を起動前に設定できます。
export PYTORCH_CUDA_ALLOC_CONF=expandable_segments:True
python main.py
expandable_segments は割当サイズが変わる処理での断片化への補助で、万能のOOM対策ではありません。新しいPyTorchでは PYTORCH_ALLOC_CONF が正式名で、PYTORCH_CUDA_ALLOC_CONF も互換名として使えます(PyTorch公式のCUDAメモリ管理の説明)。
単体GPUのPCでVRAMが足りない場合、ComfyUIには --lowvram と --novram のオプションがあります。ただし --lowvram のヘルプには「Doesn’t do anything if dynamic vram is enabled.」とあり、効くかどうかは設定次第です。
8. 費用
ソフトウェアはどれも無料のオープンソースです。ComfyUIはGPL-3.0、A1111とForgeはAGPL-3.0です。有料なのはComfy Cloudというクラウド版と、ComfyUIのPartner Nodes(外部APIのモデルを呼ぶノード。ローカル版でもクレジットを消費し、入力は外部へ送られます)です。公式docsは「ComfyUI will always remain fully open-source and free for local users」としており、ローカルのモデルとノードで生成する処理は無料です(ComfyUI公式docs Partner Nodes、2026-10-19確認)。Partner Nodesを使わないなら、起動引数 --disable-partner-nodes で無効にできます。フロントエンドの外部通信も止めたい場合は --offline を使うと同じページにあります。ただしこれはカスタムノードを含む全プログラムの通信を遮断する仕組みではありません。
かかるのは次の2つです。
- 機材: GPU付きのPCと、ディスクの空き。ComfyUIデスクトップアプリは1インストールあたり4.85GB以上の空きが推奨(アプリ本体のファイル容量ではありません)、SDXL baseのモデル1本で6.94GBです。モデルを足すほど増えます
- 電気代: 生成中のGPUの消費電力×時間×契約単価で決まります。機材ごとに違うため、ここでは数値を出しません
VRAMの目安について、UI開発元が出している数値は、A1111のREADMEにある「4GB video card support (also reports of 2GB working)」(AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui 2026-10-17)と、ComfyUIのREADMEにある「as low as 4GB vram + 8GB ram」(大きなモデルについての一般的な記述)(comfyanonymous/ComfyUI 2026-10-17)程度でした。確認した資料の本文からは、SDXL専用の必要VRAMの公式値は確認できませんでした。メモリ量で判断する考え方はローカルLLMをメモリ量で選ぶ記事も参考になります。
9. 注意点・ライセンス
- モデルのライセンスはモデルごとに違います: SDXL base 1.0はCreativeML Open RAIL++-Mです。モデルカードの用途欄は「research purposes only」を想定用途に挙げていますが、これは用途の説明で、商用利用の可否はライセンス本文(LICENSE.md)で判断してください
- 出所の分からないモデルファイルは避けます: 公式の配布元から
.safetensors形式で入手してください。配布元が不明なファイルは、出所と安全性を保証できません。公式の配布なら、掲載されているファイルサイズとSHA-256で同一性を確かめられます - LANに公開するときの注意: ComfyUIは既定で
127.0.0.1だけで待ち受けます。--listenを値なしで付けると0.0.0.0,::になり、同じネットワークの他の機器からも操作できます。信頼できないネットワークでは付けないでください - アンインストール: デスクトップアプリは「設定 → アプリ → インストールされているアプリ」から削除します。ただしモデルや設定は残るため、不要と判断したものに限って
%LOCALAPPDATA%\Comfy-Desktop\ComfyUI-Sharedなどを手で消します。共有フォルダには出力画像も入っています。手動インストールなら、作業ディレクトリ(この記事では~/sd)を消せば終わります
10. よくある質問
MacでもStable Diffusionをローカルで動かせますか
ComfyUIはデスクトップアプリがmacOSに対応しています。手動インストールでもApple Silicon向けのPyTorchの入れ方が公式docsにあります(docsの例示はM1〜M4で、上限を示すものではありません)。A1111はREADMEではApple Silicon向けの公式Wikiへの案内です。
GPUが無いPCでも動きますか
ComfyUIは --cpu で全処理をCPUで実行でき、portable版にも run_cpu.bat があります。ただしソース上の説明は「slow」で、試しに動かす用途に向きます。
ComfyUIの更新はどうしますか
portable版は update フォルダの update_comfyui.bat(最新コミット)か update_comfyui_stable.bat(最新の安定版)を使います。手動インストールでは、同じvenvを source venv/bin/activate で有効にしてから、ComfyUIのフォルダで git pull をし、pip install -r requirements.txt をやり直します。
Forgeはもう使わない方がよいですか
使えなくなったわけではありません。ただしREADMEの動作状況表は2024年9月が最後で、推奨構成はCUDA 12.1 + PyTorch 2.3.1のままです。新しいGPUで入れる場合は、表に無い組み合わせになる点を前提にしてください。
11. まとめ
- 2026年10月17日時点の公式READMEで比べると、更新が続いているのはComfyUIです(10月19日にv0.42.1を確認)。OS対応はA1111にも公式Wikiの案内がありますが、迷ったらComfyUIを選びます
- PythonはComfyUIが3.13推奨、A1111はWindowsで3.10.6と、UIごとに違います。Forgeは同梱です
- Linux(aarch64を含む)では、対応NVIDIA GPUとドライバーを前提に、ComfyUIを手動で入れ、cu130のPyTorchを入れます。aarch64向けwheelは公式の配布一覧にあります。GPUを認識しないときはビルドとドライバーを分けて切り分けます
- モデルは
models/checkpointsに置き、SDXLなら1024×1024で最初の1枚を出します - ソフトは無料で、費用は機材と電気代です。有料なのはComfy CloudとPartner Nodesで、後者は入力を外部へ送ります。モデルのライセンスと
--listenの扱いは使う前に確認します
12. 関連記事
- DGX SparkでLTX-2.3を動かした手順: 同じaarch64機でPyTorch系の生成ツールを入れたときの記録とOOM対策
- ローカルLLMとは: 手元で推論すると何が外に出ないかの整理
- ローカルLLMおすすめはメモリ量で決まる: メモリ量から動かせるモデルを絞る考え方